2008 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の脳に存在する低分子量GTP結合蛋白質の機能特性
Project/Area Number |
20580053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宇野 知秀 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (80240852)
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Keywords | 脳 / カイコ / 低分子量GTP結合蛋白質 / rab / 抗体 / 昆虫 |
Research Abstract |
(研究の目的)昆虫脳は、前胸腺刺激ホルモン、羽化ホルモン、ボンビキシンなど様々な神経ペプチドホルモンを特定の細胞で合成し体液中に分泌することが知られている。これらの神経ペプチドは、温度や光などの刺激を受けて、脳で合成され分泌されることにより、昆虫特異的な現象である羽化、休眠、変態を引き起こす。本研究では、これら神経ペプチドの分泌機構の解明を最終的な目標として、蛋白質の細胞内輪送に関与する低分子量GTP結合蛋白質の一種であるrab蛋白質に焦点を合わせて研究を行った。 (研究内容)まず、カイコの組織からmRNAを抽出後、RT-PCRを用いて2種類のrabのcDNAを得た。次に、これらのcDNAを大腸茵発現ベクターに挿入し、融合蛋白質として2つのrab蛋白質を発現させた。それぞれの蛋白質を精製後、その生化学的機能を解析した。その結果、2種類のrab蛋白質(BRabN1, BRabN2)はGDPに結合し、GDP/GTP交換活性、GTPを分解する活性(GTPase活性)を有していた。この結果から、2種類のrab蛋白質は、GTP結合蛋白質としての機能を持つことが示された。更に、BRabN1はATPase活性を有する新規の蛋白質であることを明らかにした。次に、マウスを用いてモノクローナル抗体を2種類作成し、カイコの様々な組織を用いてイムノブロッテイングを行ったところ、BRabN1は精巣にBRabN2は脳に特異的に発現した。また、ゴキブリの脳を用いて、rabの抗体を用いた免疫組織化学的解析を行ったところ、神経ペプチドで変態を引き起こすホルモンである前胸腺刺激ホルモンと同じ脳の細胞にrabが発現していること、脳内でのシグナル伝達に関与するプロテインキナーゼであるPKCと同じ脳細胞に発現していることを明らかにした。以上の結果より神経ペプチドの分泌にrabが関係することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)