2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物毒利用昆虫におけるアルカロイド摂取の進化起源-特に生殖能力増進作用の評価
Project/Area Number |
20580054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
本田 計一 Hiroshima University, 生物圏科学研究科, 教授 (00238809)
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Keywords | アルカロイド / 生理活性 / 昆虫 / 配偶行動 / 性フェロモン / 防御物質 |
Research Abstract |
<マダラチョウ類全般に共通する結果>1.植物中の含有PA類の分析:ミズヒマワリ(温室内で許可を得て栽培)およびスナビキソウの花蜜や花穂等に含まれるPA分析を行い、前者からは主成分としてlycopsamineと少量のintermedineを確認した.後者からは、前年の分析結果を踏まえて精査したところ、lycopsamine(主)とintermedineのN-oxideが主成分であることが判明した.2.PA類の化学合成:光学活性酒石酸の存在下にEthyl 2-isopropylacetoacetateをBH4で還元してhydroxy esterのエナンチオマー混合物を得、これをPOC13で脱水して、Ethyl 2-isopropylbut-2-enoateのZ,E体混合物を調製した.<ツマムラサキマダラ、アサギマダラに関する結果>1.PAの摂取が雄の配偶行動の活性化におよぼす効果:SBを切除してフェロモン生合成機能を失わせた条件と、フェロモン存在下の条件で、PA投与及び非投与アサギマダラ雄成虫個体で競合交尾実験を行ったところ、いずれの場合も投与個体のみが交尾を行い、求愛行動の顕著な活性化も認められた.2.受精等におよぼすPA類摂取の効果:ツマムラサキマダラ用いて、雌にPAを投与した場合の産下卵の受精率の変化を測定した(雄には非投与).投与雌においてはやや高い受精率が認められ、PA摂取により雌の適応度が幾分向上するものと考えられた.3.PA類に対する脚の味感覚器の電気生理応答と感覚器のSEM観察:SEM観察から、中・後脚に毛状感覚子が存在することを確認し、これのPA類に対する味覚応答を電気生理学的に調べたところ、これらはPA受容味感覚器であることが判明した.一方、嗅覚受容器に関しては、前脚が主要な感覚器であり、触角もPAを感知していることが判明した.また誘引実験から、lycopsamine型の特定のPAのみが誘引性を示し、他のPA類は概して忌避作用を示すことも明らかとなった.
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Research Products
(6 results)