2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580057
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
谷合 幹代子 独立行政法人農業生物資源研究所, 制御剤標的遺伝子研究ユニット, 上級研究員 (60370665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 謙 金沢工業大学, バイオ・化学部, 准教授 (40387353)
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Keywords | 昆虫 / 神経系 / 発生 / 行動 / カイコガ / 変態 / ホメオチック突然変異 |
Research Abstract |
平成22年度は、幼虫期・変態期における異常・正常個体の神経系の構造や行動への影響について調査した。 (1)幼虫期における腹部第2体節の機械感覚毛の分布と歩行運動への関与 過剰腹脚が発生する腹部第2体節での機械感覚毛の分布を異常・正常個体間で比較した。腹脚領域とそれ以外の領域に分布する機械感覚毛数は、異常個体でそれぞれ有意に多く、その数は異常個体の腹部第3節における数とほぼ同じであった。これらの感覚毛の基部には感覚ニューロンが存在することが確かめられた。この結果から、異常個体の腹部第2節が第3節化していることが示唆された。さらに、機械感覚毛の除去による歩行運動パターンへの影響を調査したところ、除去個体における前後脚での歩行開始時間差が有意に短かった。 (2)幼虫期における腹部第2神経節内運動ニューロンの分布 過剰腹脚を支配する腹部第2神経節での運動ニューロンの分布を異常・正常個体間で比較した。後方神経を通る運動ニューロンは、その細胞体の位置から、異常・正常間で共通するニューロン群(A・B・C・D群)と異常個体のみに見られるニューロン群(E群)に分類できた。E群の運動ニューロンは異常個体の第2神経節と第3神経節の両方で確認された。E群は2個のニューロンからなり、腹脚の筋を支配していると考えられる。運動ニューロンの分布からも異常個体の腹部第2節が第3節化していることが示唆された。 (3)変態期における神経節短縮に関わる要因 異常個体の過剰腹脚を切除した時の胸・腹部神経節の短縮への影響を調査した。成虫期における神経節の融合の程度を異常未処理、異常切除、正常未処理個体間で比較したところ、異常未処理と正常未処理間では有意な差が見られ、異常切除個体は両者の中間の値を示した。しかし異常未処理と異常切除個体間では有意な違いが検出できず、神経・筋接合と神経節短縮との明瞭な関係は確認できなかった。
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Research Products
(6 results)