2010 Fiscal Year Annual Research Report
黒ボク土における腐植のアルミニウム制御物しての機能
Project/Area Number |
20580059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80132009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南條 正巳 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60218071)
佐藤 孝 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (50315602)
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Keywords | アルミニウム-腐植複合体 / アルミニウム毒性 / アルミニウム溶解性 / アロフェン質黒ボク土 / 非アロフェン質黒ボク土 / 土壌DNA |
Research Abstract |
低pHと可溶性Alが土壌中の微生物活性を抑制し,Al-腐植複合体の大部分が化学的・生化学的にきわめて安定であることが,黒ボク土が多量の有機物を蓄積する要因であると考えられる.そこで,pHの変化とAlの化学形態の変化が有機物の安定性と土壌微生物に与える影響を土壌中の窒素代謝と炭酸ガス放出量から調べた.非アロフェン質黒ボク土(向山Al層,向山3A3層),アロフェン質黒ボク土(宇都宮A層)の3試料を用いて,炭酸カルシウム(炭カル)添加(pHを上げ,可溶性Alを減少させる),リン酸添加(pHを上げず,可溶性Alを減少させる),硫酸添加(pHを下げ,可溶性Alを増加させる)の3つの化学処理を行い,これらが有機物の無機化(土壌呼吸量・窒素無機化量)に及ぼす影響をみた.また,土壌からDNAを抽出し,細菌の16SrDNAのPCR-DGGE解析を行った. 炭カル処理によりどの土壌でも呼吸量は増加した。これはpHの上昇とAl毒性の減少のためとみられたが,初期に発生する炭カル由来のCO_2の影響も考えられた.炭カル処理により窒素無機化量は増加しなかったが,向山Alでは無処理より低かった.これは窒素の有機化のためとみられた.リン酸処理によりいずれの土壌でも呼吸量,窒素無機化量が増加した.これはリン酸添加によるAl毒性の減少に加えて,水溶性有機物が増加して微生物活性が上昇したためと考えられた.硫酸処理により向山Alでは呼吸や硝化が低下したが,他の2土壌では変化がなかった.3土壌試料間の比較では,向山3A3の呼吸量,窒素無機化量は他の土壌に比べて低かった.これは埋没腐植層である向山3A3は腐植がAl-腐植複合体として安定に存在し,易分解性有機物が少ないためと考えられた,PCR-DGGE法による細菌の群集解析の結果,リン酸処理と硫酸処理によって微生物相が顕著に変化することがわかった.
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Research Products
(3 results)