2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580064
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
米林 甲陽 石川県立大学, 生物源環部, 教授 (00046492)
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Keywords | 腐植酸 / Al-腐植酸錯体 / Al-HIDA錯体 / カルボキシル基 / 強酸性カルボキシル基 |
Research Abstract |
【目的】腐植物質の機能として,カルボキシル基に2価陽イオン(Ca,Mg)が濃縮し,植物根による養分吸収が促進されるが,微量要素の鉄はキレートを形成していると考えられ,根から吸収されず,植物が鉄欠乏を引き起こすことを見いだした.従来のモデルでは,鉄キレート生成能は陽イオン吸着能よりはるかに強いため,鉄共存下で2価陽イオンが濃縮するとは考えにくい.しかし,腐植酸と鉄がキレート生成する部位が腐植物質の表面全体ではなく偏在し,同時に2価陽イオンが結合できることをモデル実験で確認した。土壌中では鉄と同様にAlが腐植物質に強く結合しているとされるため、Alが腐植酸とキレートを形成していることを実証する. 【方法】黒ボク土,灰色低地土,褐色森林土から腐植物質を抽出し,腐植酸を分別精製してH^腐植酸試料を得た.Al(0.1mM)と腐植酸溶液(0~20mg/L)を混合し(pH4.0),Al腐植酸錯体を沈殿させ,分離した溶液中のAlイオンをICP-AESで測定し,腐植酸と錯形成しているAl濃度を計算した. 【結果と考察】腐植酸と結合したAl量は腐植酸の腐植化度が高まると増加した.腐植酸のカルボキシル基濃度と錯形成したAl濃度の関係は,すべての腐植酸でy=0.25x(R^2=0.95**)に回帰した.すなわち,1mo1のAlにカルボキシル基4molが結合したことになる.また,そのうち1molはpKa3.2以下の強酸性カルボキシル基であることが明らかとなった.競合リガンドとしてヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)を加えた系でAl腐植酸錯体はHIDAと結合せず,Al-HIDA錯体より安定度定数が高いことを明らかにした.
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Research Products
(1 results)