2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580070
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大坪 嘉行 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 助教 (40342761)
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Keywords | 土壌細菌 / カタボライト調節 / PCB分解菌 |
Research Abstract |
カタボライト調節について明らかにするために、KKS102株由来のpEプロモーターを全ゲノム配列が既知のATCC 17616株に導入して解析を行った。ATCC 17616株のPTSシステム関連の遺伝子について破壊株を網羅的に作製し、これらがカタボライト調節に関与するかどうかについて解析を行っに。本株にはそのゲノム情報から2つのPTSシステムが存在することが推測されたがこの両方を同時に破壊した株において、pEプロモーターはほぼ野生型株と同等のカタボライト調節を受けることが示された。この二重破壊株に、PTSシステムの個々の構成要素を導入すると、pE活性は大きな影響を受け、導入した遺伝子によって異なるが強く抑制されるか、あるいは強く活性化された。またその一方で、グルコース存在下ではpE活性は低下し、グルコースの存在を感知するメカニズムは別に存在し機能していることが推察された。これらのことから、PTSシステムはpE活性に強い影響を与える一方で、全体としては中立であることが推測された。これまでの結果より、二成分調節系のBphPとBphQのうちセンサーカイネースをコードしているBphPは、カタボライト調節に必須ではないことが明らかとなっていた。今回の結果から、BphPおよびPTSシステムが互いに相補的に機能していることが推察され、両PTSシステムを破壊した株をもちいてBphPの機能解析を行うことで、BphPのカタボライト調節への関与を明らかにできることが期待された。また、2つのPTSシステムの構成因子の破壊株のうち3株は、広範な炭素源の資化能を失った。そのような炭素源はBphQの発現レベルを抑制した株が資化能を失う炭素源と一致することが見いだされ、PTSシステムとBphQの間には機能的に強く関連することが見いだされた。またβプロテオバクテリアにおけるPTSシステムの機能については、今まで明らかにされていないが、今回両PTSシステムがATCC 17616株のN-アセチルグルコサミンの資化に関与することが示された。
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