2008 Fiscal Year Annual Research Report
麹菌由来キシラン分解エステラーゼの構造・機能の解明
Project/Area Number |
20580071
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小関 卓也 Yamagata University, 農学部, 准教授 (70372191)
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Keywords | 植物バイオマス / ヘミセルロース / フェルラ酸エステラーゼ / Aspergillus oryzae / フェルラ酸 |
Research Abstract |
植物細胞壁成分フェルラ酸やアセチル基は細胞壁の機能に重要な働きをしていると考えられている。フェルラ酸は細胞壁中で糖質ポリマー間の架橋を形成し、細胞壁の機能に重要な働きをしている。なかでも、ヘミセルロースの主要なアラビノキシランは側鎖が非常に複雑で、その分解酵素も主鎖を加水分解するエンド及びエキソ型のキシラナーゼに加えて、α-L-アラビノフラノシダーゼ、α-グルクロニダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルラ酸エステラーゼなどアクセサリー酵素と呼ばれる側鎖を加水分解する酵素が必要とされている。一方、麹菌は多様な酵素を生産し、酵素の宝庫と言われており、麹菌Aspergillus oryzaeのゲノムデータベースには植物細胞壁分解エステラーゼと相同性を有するORFが複数存在するが、酵素タンパク質としての報告はない。フェルラ酸エステラーゼは1次構造の類似性や基質特異性を基に4タイプ(type A-D)分けされているが、最近、A. nidulansにおいてアミノ酸配列がタイプC相同にもかかわらず、基質特異性がタイプBのフェルラ酸エステラーゼ(AndFAEB)が報告された。タイプCフェルラ酸エステラーゼ類似の遺伝子がA. oryzaeには複数個見出されているものの、機能については明らかとなっていない。本年度はA. oryzaeのゲノム情報から2つのタイプCフェルラ酸エステラーゼ様遺伝子(AO090001000066, AO090001000582)をそれぞれAofaeBおよびAofaeCと命名し、Pichia pastorisを用いて産生させたそれぞれのリコンビナント酵素(rAoFaeBおよびrAoFaeC)を精製後、その特徴付けを行った。その結果、基質特異性から判断するとrAoFaeBはタイプBの、rAoFaeCはタイプCのフェルラ酸エステラーゼのプロファイルを示し、遺伝子配列は相同であるが酵素特性が異なり、フェルラ酸エステラーゼの多様性が明らかとなった。
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