2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580075
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
河合 啓一 Gifu University, 応用生物科学部, 教授 (00002064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 智徳 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60252128)
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Keywords | メチロトローフ / 希土類元素 / Methylobacterium / La / メタノール脱水素酵素 / mxaF' / Bradyrhizobium / Ce |
Research Abstract |
メチロトローフであるメチロバクテリウム属とブラディリゾビウム属のメタノール脱水素酵素と希土類元素との関わりを明らかにするために,特にランタンあるいはセリウムとメタノール脱水素酵素との関わりについて研究を進めた。両属の細菌細胞からメタノール脱水素酵素を電気泳動的に単一にまで精製し,その特徴を検討した。メチロバクテリウム属については,ランタン存在下で発現する酵素(ランタン酵素)とカルシウム存在下で発現する酵素(カルシウム酵素)のN-末端アミノ酸配列が異なっていることがわかった。また,ランタン酵素遺伝子がカルシウム酵素遺伝子のホモログであることを明らかにするとともに,ランタン酵素およびカルシウム酵素の分子構造がそれぞれホモ二量体およびヘテロ四量体であることを認めた。さらに,ランタンがカルシウム酵素の生成を,またカルシウムがランタン酵素の生成をそれぞれ抑制することを明らかにした。すなわち,ランタンが休眠遺伝子(ランタン酵素遺伝子)を発現させるとともにカルシウム酵素遺伝子の発現を抑制することを示している。これらの研究成果は,ランタンが転写レベルで酵素生成の調節機能を発揮している可能性を示しており,生体に及ぼすランタンの影響を研究するうえで貴重な情報を提供したものといえよう。一方,セリウム存在下でブラディリゾビウム属細菌が発現するセリウム酵素もホモ二量体酵素で,その遺伝子配列からカルシウム酵素遺伝子のホモログと推定された。今後,分子遺伝学的およびゲノム生物学的にもっとも研究の進んでいるメチロバクテリウムエクストルクエンスおよびブラディリゾビウムジャポニクムを用いて,メチロトローフ細菌のメタノール脱水素酵素とランタンあるいはセリウムとの関わりについて,タンパク質化学的および分子遺伝学的に詳細な検討を加える予定である。
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