2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタン生成古細菌メタノサルシナ・マゼイの細胞壁分解酵素の解析と機能利用
Project/Area Number |
20580076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅川 晋 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (50335014)
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Keywords | メタン生成古細菌 / 細胞壁分解酵素 / 形態変化 / 絶対嫌気性 / Methanosarcina mazei / disaggregatase / aggregate / single cell |
Research Abstract |
本研究は、メタン生成古細菌Methanosarcina mazei(メタノサルシナ・マゼイ)のaggregateからsingle cellへの形態変化に関わる細胞壁分解酵素disaggregataseの発現条件を解明し,その機能をメタンの発生抑制とメタン発酵の効率化に活用するための基盤的情報を得ることを目的とする。 Methanosarcina mazeiのaggregateからsingle cellへの形態変化には,培地中の陽イオン濃度など種々の要因が影響を及ぼす。陽イオン濃度に対する反応性に関し、細胞形態変化の表現型の異なるMethanosarcina mazeiの2菌株(LYC株[中程度の陽イオン濃度でもsingle cell化しやすい]およびTMA株[高い陽イオン濃度のみでsingle cell化する])におけるdisaggregataseの発現に及ぼす培地中の陽イオン組成の影響を細胞レベルで明らかにした。上述の2菌株を陽イオン(Mg^<2+>, Ca^<2+>, Na^+)組成の異なる3種類の培地で培養し,細胞形態の観察とdisaggregataseの活性確認を行い,培養菌体より抽出したRNAについて,逆転写・定量的PCRによりdisaggregatase遺伝子の発現を転写レベルで解析し,また、disaggrpgataseに特異的な抗体を用いて酵素タンパク質の発現を解析した。両株ともに、陽イオン濃度の高い培地でsingle cell化し、その培養上清にdisaggregataseの活性が確認され、培養菌体にはdisaggregataseタンパク質の発現が認められた。disaggregatase遺伝子の転写量は、LYC株では培地中の陽イオン濃度の上昇に伴い増加し、細胞形態変化と遺伝子発現が対応していたが、TMA株では培地中の陽イオン濃度や細胞形態変化と遺伝子の転写量との間に対応が見られず、single cell化にはdisaggregatase遺伝子の発現以外にも何らかのメカニズムが関与していることが示唆された。以上より、Methanosarcina mazeiにおけるdisaggregataseの発現に影響を与える要因とそのメカニズムは菌株により異なることを明らかにした。
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