2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉄酸化細菌由来新規有機水銀分解酵素の分子生物学的解析とその利用
Project/Area Number |
20580079
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉尾 剛 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20033269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 文章 岡山大学, 環境管理センター, 准教授 (90294446)
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Keywords | mercury reduction / mercury volatilization / mercury resistance / Acidithiobacillus ferrooxidans / organomercury lyase / cytochrome c oxidase / iron-oxidizing bacteria / sulfur-oxidizing bacteria |
Research Abstract |
本研究は、無機および有機水銀を金属水銀に変換できる鉄酸化細菌Acidithiobacillus ferrooxidans MON-1株の特徴ある微生物機能を分子生物学的に解析後、得られた知見を水銀汚染土壌の「バイオレメディエーション」へ応用していくことを月的としている。 平成21年度は、下記の4点を明らかにすることができた。(1) A. ferrooxidansは2価鉄と元素硫黄(S)の両方をエネルギー源にして増殖が可能である。MON-1株は2価鉄で培養してもSで培養しても同程度のメチル水銀(MMC)分解活性を持つことをECDガスクロマトグラフィーを用い、反応溶液中のMMC濃度の減少を直接定量する方法を用い明らかにした。また、塩化第二水銀からの金属水銀の気化に関してもほぼ同じ活性を示した.(2) Sで増殖したMON-1株にaa3型cytochrome coxidase (aa3)が存在していることを明らかにし、このaa3をほぼ均一に緒製した。更に、精製したaa3と、二価鉄で増殖したMON-1株から精製したチトクロームc (Cylclおよびcyc2)およびiusticyaninを共存させた場合に限って鉄酸化酵素活性が再構成されることを明らかにした。(3) MON-1株のMMC分解活性は細胞膜に存在し、活性は1mMのNaCNによって強く阻害される。NON-1株より純粋に精製したaa3が、無機ばかりでなくMMCに対しても分解活性を持っていることを明らかにした。還元型mammalian cytochrome cのみでなくMON-1株から精製したチトクロームcが水銀気化に必要な電子の供与体になり得ることを示した。精製aa3による水銀の気化はas3に対して調製した抗体によって完全に阻害された。この結果は、有機水銀の分解にaa3が関与していることを世界に先駆けて示すものであり、また、従来の水銀気化酵素merctiry reductase (MerA)および有機水銀分解酵素(NerB)とは異なる有機水銀分解酵素が存在することを初めて示すものである。(4) MON-1株のaa3はSDSに対して他の感受性株のaa3よりはるかに耐性であった。5% SDSで3つのサブユニット(α-,β-,γ-subunits)に解離させた後も無機及び有機水銀からの金属水銀気化活性を保持していること、並びにα-及びβ-subunitsに活性が存在していることを見出した。
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Research Products
(6 results)