2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌におけるsRNAを介したシグマE依存性プログラム死経路の解明
Project/Area Number |
20580080
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 守 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (30174741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 正之 山口大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤研究員 (30452634)
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Keywords | 大腸菌 / small RNA / 溶菌 / シグマE / 細胞死 |
Research Abstract |
微生物におけるプログラム細胞死は、枯草菌の胞子形成母細胞の死などで知られるが、その生理的意義を含めて詳細な分子機構はほとんど明らかでない。本申請課題では、「シグマE(RNAポリメラーゼのサブユニット)依存性プログラム細胞死(PCD)」のカスケード解明を目的とする。本細胞死は、申請者らが見出した現象であるが、長らくその分子機構は不明であった。最近、small RNA (sRNA)のmicAやrybBが関与し、それらがOmpの発現を抑制し、溶菌に至ることが判明したことから、本研究では、そのカスケードの開始と最終段階に焦点を当てた。すなわち、「カスケードを誘導するシグナル」と「Ompの発現抑制から溶菌まで」を解析する。この機構の解明は、発酵細菌の細胞死や溶菌の抑制あるいは病原菌の繁殖抑制などの技術として発酵産業や衛生等に活かされると期待される。 昨年度に引き続いて、「カスケードを誘導するシグナル」の検討をすすめた。昨年度の解析からストレスシグナルとして内在性の活性酸素種がシグナル分子である可能性が示唆されたことから、活性酸素種レベルに影響する関連遺伝子の変異株やクローン体を用いて検討したところ内在性の活性酸素種がシグナル分子であることが再確認された。従って、定常期初期の活性酸素種の一過的に蓄積が、コロニー形成不能細胞を形成し、シグマE依存性PCDがスタートすると考えられる。一方、「Ompの発現抑制から溶菌まで」の解析をさらにすすめたところ、Omp(opA,ompC,ompW)の発現調節にsRNAに加えてあらたにペリプラズムのタンパク質フォールディングに関わるPpiDが関与していることが示唆された。特に、コロニー形成不能細胞において、PpiDの発現が減少し、これが0mp発現低下を加速させ、外膜の不安定化そして溶菌に繋がると推測される。
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Research Products
(5 results)