2009 Fiscal Year Annual Research Report
液胞をターゲットとして真菌を自殺へと導く抗真菌化学療法の開拓
Project/Area Number |
20580083
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 俊雄 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 教授 (10137185)
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Keywords | 液胞破壞作用 / 選択的抗真菌作用 / Candida albicans / amphotericin B / allicin / polymyxin B / zwiebelane |
Research Abstract |
1. 病原性真菌であるCandida albicansに対するamphotericin B(AmB)の液胞破壊作用を検証した結果、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeに対する作用と同様に、C.albicansに対しても液胞膜破壊を伴う致死作用が認められた。さらにその作用は、ニンニク由来の硫黄化合物アリシンの存在下において増幅することが明らかとなった。AmB処理を施したC.albicansでは、多くのAmBが細胞膜から検出されたが、一定量のAmBが細胞質から検出されたことから、AmBは細胞質において直接的に液胞へ作用していることが示唆された。一方、アリシンは、液胞保護プロセスである細胞内のエルゴステロール輸送系を阻害することによって、AmBの液胞膜障害作用を増幅していることを明らかにした。 2. 出芽酵母をモデルとしてpolymyxin B(PMB)の殺真菌活性を増幅する成分を種々食品中に検索したスクリーニング実験において、タマネギ鱗茎の破砕液中にアリシンと同様の効果を有する活性成分の存在が認められた。同成分の単離、精製、および構造解析の結果、精製標品は無色油状で、60℃での加熱や減圧濃縮に際しても活性が維持される点でアリシンと異なる物性を示すなど、いくつかの有利な性質を有することが見いだされた。質量分析、1、2次元NMR、IR分析、ならびにシミュレーション解析をおこなった結果、本標品をzwiebelane(cis-2, 3-dimethyl-5, 6-dithiabicyclo[2.1.1]hexane 5-oxide)と同定するに至った。精製標品には何らの生育阻害活性も無いが、PMBの殺真菌活性を著しく増幅することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)