2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規多孔質プレートを用いた深海からの有用微生物及び新規微生物の分離
Project/Area Number |
20580092
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
能木 裕一 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究主幹 (70399559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 茂 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (40344296)
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Keywords | キチン / キチナーゼ生産菌 / 難分解物質分解菌 |
Research Abstract |
従来、微生物培養用固形培地にはその汎用性から寒天が多く用いられてきた。しかし、寒天培地の欠点は高温では溶解してしまうこと、酸性の培地では固化しにくいことなどが挙げられる。また、従来の微生物分離法で分離されてくる新種微生物は既知属の物が多く、現場環境の遺伝子解析から示される微生物の分離は大変困難であった。そこで寒天に代わる微生物分離用培地支持体(多孔質セルロース、多孔質キチン、プラスチック系素材)を使用し、熱水噴出口付近、冷湧水噴出域、深海生物に共生または付着している新規微生物、深海生物生息域の豊かな微生物相から今まで分離することが出来なかった新規微生物や有用微生物の分離を行った。平成22年度は多孔質キチンプレートとプラスチック系素材を混合したプレートを使用し、各種サンプルから新規微生物及び有用酵素生産菌の分離を行った。キチンプレートのみに生育するような新規微生物の分離には至っていないが、キチナーゼ生産菌としては好熱性放線菌Thermoactinomyces属の新種の分離に成功した。前年度までに分離したMicrobulbifer属のキチナーゼは、キチン分解活性は非常に強力であるが、キチンをキチン二糖まで分解する。医薬的に利用価値が高いと予想されるキチン4~6糖を精製するような酵素生産株の分離には至らなかった。また、新規PVA分解の2新種の分離に成功した。既知のPVA分解菌の多くはαプロテオバクテリアのSphingopyxisに属するが分離株の1株はこれまで報告のないThalassospira属に属し、もう1株はγプロテオバクテリアのSteroidobacter属に属する。両株とも既知種と遜色のないPVA分解能力を示した。両株はPVA以外の難分解性の合成高分子、特に内分泌撹乱物質の分解能など今後に期待の出来る性質を示唆した。
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