2009 Fiscal Year Annual Research Report
高安定型ヒドロゲナーゼのシトクロムb複合体の調製と解析
Project/Area Number |
20580094
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
西原 宏史 Ibaraki University, 農学部, 准教授 (10260465)
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Keywords | ヒドロゲナーゼ / シトクロムb / 蛋白質精製 / 膜蛋白質 / 可溶化 / 水素酸化細菌 / Hydrogenovibrio marinus |
Research Abstract |
ヒドロゲナーゼは水素生産や燃料電池触媒としての利用が期待される酵素である。膜結合型ヒドロゲナーゼ(MBH)は2量体のヒドロゲナーゼ分子と膜蛋白質であるCyt bが複合体を形成しているが、3量体としての精製は困難である。本研究では耐熱性と耐酸素性に優れているHydrogenovibrio marinus由来MBHのCyt b複合体としての調製法の確立を目指している。細胞膜からの可溶化条件の最適化が最も重要と考えられるが、そのための課題となったMBH-Cyt b複合体の量的評価法の信頼性向上について検討を行った。その結果、水素に依存したCyt bの還元(561nmにおける吸収)をMBHと複合体を形成しているCyt bの存在量の指標としたが、混在するCyt c由来の吸収が加算されることを除くためにアスコルビン酸還元型サンプルの吸収を差し引き、さらに酸化・還元状態のCyt bでほとんど吸収に変化の無い575nmにおける吸収をベースラインとして差スペクトルを算出する方法が有効であることが確認された(Cyt b量=水素還元型[ΔA(561-575nm]-アスコルビン酸還元型[ΔA(561-575nm)])。さらに細胞破砕前に菌体を15-25%の硫酸アンモニウムを含むバッファーで洗浄することにより、ペリプラズムや細胞膜表面に多量に存在するCyt cのみを効果的に除去できることを見出し、MBH-Cyt b複合体定量の信頼性向上に有効であることが示された。今後、これらの方法を使用して可溶化条件の確立とカラム精製法の検討を進めていく。
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