2008 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造を基盤とした動物レクチン-糖鎖間相互作用の解明
Project/Area Number |
20580100
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畠山 智充 Nagasaki University, 工学部, 教授 (50228467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 英昭 長崎大学, 工学部, 助教 (10452872)
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Keywords | レクチン / 糖結合タンパク質 / カルシウム / 糖認識機構 / 部位特異的変異体 / 蛋白質工学 / X線結晶構造解析 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では,生体内で細胞間及び分子間認識に重要な役割を果たしている動物レクチン(糖結合タンパク質)の立体構造解析結果から得られた情報をもとに,動物レクチンの生体内での細胞・分子認識機構の原理を明らかにすることを目的とした。当初の研究対象として,動物界に普遍的に存在するC型レクチンとよばれるCa^<2+>依存性レクチンファミリーに属する棘皮動物グミ由来のCEL-I, CEL-III, CEL-IVを用いて,それらの立体構造解析と部位特異的変異体作製を行った。その結果,特にCEL-Iについて種々の部位特異的変異体を得ることができ,このレクチンが示すN-アセチルガラクトサミンに対する非常に高い特異性の原因となっている糖結合部位アミノ酸残基を同定することに成功した。さらに,C型レクチンのガラクトース/マンノース特異性に重要な寄与をしていると一般に考えられている糖結合部位のQPD(Gln-Pro-Asp)及びEPN(Glu-Pro-Asn)配列モチーフを変換したCEL-I変異体を作製し,その糖特異性を検討した結果,QPDをEPN配列に変換しても,わずかにマンノース特異性が高まるのみで,ガラクトースに対する親和性はあまり低下しないことが明らかになった。このことから,QPD/EPNモチーフは糖特異性決定において部分的な役割を果たしているのみであり,その他の糖結合部位アミノ酸残基の配置との組み合わせによって糖特異性が決定されていることを明らかにした。X線結晶構造解析の結果からは,糖結合部位に位置する芳香族アミノ酸残基が特異性変換に特に重要であることが示唆され,今後の特異性変換変異体作製に関する重要な知見が得られた。
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