2009 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造を基盤とした動物レクチン-糖鎖間相互作用の解明
Project/Area Number |
20580100
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畠山 智充 Nagasaki University, 工学部, 教授 (50228467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 英昭 長崎大学, 工学部, 助教 (10452872)
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Keywords | レクチン / 糖結合タンパク質 / カルシウム / 糖認識機構 / 部位特異的変異体 / 蛋白質工学 / X線結晶解析 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では,生体内で細胞間及び分子間認識に重要な役割を果たしている動物レクチン(糖結合タンパク質)の立体構造解析結果から得られた情報をもとに,動物レクチンの生体内での細胞・分子認識機構の原理を明らかにすることを目的としている。 ゲノム情報をもとにした新規動物レクチンの発現とその構造機能解析の一環として,ヒトの免疫系細胞である樹状細胞表面レセプターBDCA-2の大腸菌による発現を行った結果,得られたタンパク質は非常に会合性が強く,そのままでは可溶性で得ることが困難だったが,C末端の疎水性領域を削除した変異体は可溶性がある程度上昇することがわかった。またショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の新規C型レクチン(Dmel_CG9976)についても,同様にC末端に疎水性領域が存在することからそれを削除して発現したところ,可溶性として得ることができ,さらにマンノースに対する結合特異性を示すことが明らかになった。 一方,グミ(Cucumaria echinata)のC型レクチンであるCEL-Iの糖結合部位に存在するQPD(Gln-Pro-Asp)配列をEPN(Glu-Pro-Asn)配列モチーフを変換した変異体を大腸菌で発現したところ,このタンパク質はガラクトース特異性が著しく低下し,そのかわりにマンノースに対する特異性が大きく上昇していることが明らかになった。このことから,CEL-IにおいてQPD配列はガラクトース特異性を規定する重要な配列であり,このような一部の配列を変更するだけで,糖特異性を大きく変換した人工レクチンを作製することが可能であることが明らかになった。
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