2008 Fiscal Year Annual Research Report
セルラーゼの縮合反応における進化分子工学と構造活性相関
Project/Area Number |
20580107
|
Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
戸谷 一英 Ichinoseki National College of Technology, 物質化学工学科, 教授 (40369913)
|
Keywords | セルラーゼ / Trichoderma reesei / EG I / 縮合 / ラクトース / N-アセチルラクトサミン / 進化分子工学 |
Research Abstract |
Trichoderma reesei粗酵素中にラクトース(Lac)やN-アセチルラクトサミン(LacNAc)二糖単位をOH基を有する化合物へ転移・縮合する活性が存在する。申請者らは縮合活性の本体をエンド型セルラーゼEGIと同定、大腸菌で発現したT.reesei EGI触媒ドメイン(rEGICD)をプラットフォームにしてラクトースの縮合率の改善を検討している。本年度の研究目的は、1)組換え酵素(rEGICD)の調製と基質特異性の検討、2)組換え酵素によるインフルエンザ阻害剤の実践的合成法の可能性検討、3)組換え酵素の産生量あるいは比活性の高い大腸菌変異株の獲得、の3つである。成果は以下の通り。 1)組換え大腸菌親株を15℃で培養し集菌、溶菌後の酸沈殿上清をDEAEカラムにかけることによりrEGICDをSDS-PAGEで単一バンドに精製した。rEGICDは、Lacβ-pNP(1)、LacNAcβ-pNP(2)、Cellobioseβ-pNP(3)の順に親和性が高くなるが(Km(mM):185(1)>20(2)>2(3))、最大速度はこの順に低くなった(Vmax(mmol/min):14 (1)>0.8(2)>0.2(3))。一方、Chitobioseβ-pNPやLacto-N-bioseβ-pNP、Glcβ-pNP、GlcNAcβ-pNP、Xylβ-pNP、Galβ-pNPは分解されなかった。このように人工基質を使用することでEGIの知られざる基質特異性を明らかにする事ができた。 2)上記EG I CDによりLacと1,6-hexane-diolの縮合反応を行い、縮合生成物(Lacβ-HD)を活性炭カラムにより分離、LC-MS、NMRで構造を確認した(縮合率30%in HPLC)。 3)親菌株よりプラスミドDNAを調製し、Error-prone PCR法により変異ライブラリを作製、同じ宿主菌株に形質転換した。可溶性セルロース分解活性を指標に選別したコロニーを液体培養し、人工基質(Lacβ-pNP、LacNAcβ-pNP)の分解活性を評価した。今回のスクリーニングでは分解活性が高いコロニーは得られなかったがスクリーニング系を確立した。3)の課題は平成22年度も継続する。
|
Research Products
(3 results)