2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルラーゼの縮合反応における進化分子工学と構造活性相関
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20580107
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
戸谷 一英 一関工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (40369913)
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Keywords | セルラーゼ / Trichoderma reesei / EG I / BGL / セロビオース / セロオリゴ糖 / 縮合 / 糖転移 |
Research Abstract |
糸状菌Trichoderma reeseiのendo-β-glucanase I(EG I)は「セロビオース(G2)を加水分解しない」とされている。また、菌体外に分泌されるβ-glucosidase I(BGL I)はG2を加水分解するが役割が不明である。我々は大腸菌など異宿主で発現したT.reesei由来のEG I(EG I CD:触媒ドメイン)やBGL I等についてSDS-PAGEで均一に精製し各種基質に対する反応特性を比較した。 (1)EG I等の反応特性: EG I CDはpNP2糖配糖体から、N-acetyllactosamine(LacNAc)>Lactose>G2単位の順に2糖を遊離したが、Glcβ-pNPは分解しなかった。EG II CDとEG IIIはいずれもどのpNP配糖体も分解しなかった。EG I CDによるG2分解速度は、低基質濃度(例 10mM)で遅く、高基質濃度(例 1M)で顕著に増大し、BGL IのG2分解速度の約2/3に達した。糖転移反応により3糖以上も生成した。EG I CDはG2(β1→4結合)以外の結合様式を有する2糖異性体は全く分解しなかった。低基質濃度では、各EGのG2分解速度はG3以上のオリゴ糖分解速度に比べ無視できるほど小さく(1/1,000以下)、鎖長依存的に分解速度が増した。以上より、木質バイオマス糖化反応において局所的に高濃度のG2が生成した場合、EG IによるGlc生成への寄与が示唆された。 (2)BGL Iの反応特性: Glcβ-pNPとG2β-pNPのみ顕著に分解した。低基質濃度でも顕著にG2を分解し、高基質濃度においてはEG I CDほど分解反応の亢進はなかった。分解速度はG3が最大であり鎖長増大とともに低下した。EG Iと異なりBGL Iは結合様式の異なる2糖も分解した。G2を基質として反応初期に「顕著な3糖合成」が起こり、3糖生成速度はBGL I>>EG III、EG I CDであった。 菌体内のBGL IIはin vitroで高濃度のGlcの縮合やG2からの糖転移によりセルラーゼ誘導剤ソホロース(Glcβ1→2Glc)を生成すると報告されているが、BGL Iでは縮合生成物は観察されなかった。
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Research Products
(15 results)