2008 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによる複雑な鎖状構造の立体化学を決める-その手法の開発と応用
Project/Area Number |
20580108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
降旗 一夫 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (20219091)
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Keywords | 遠隔スピン結合 / J-resolved HMBC / HETLOC / selective excitation |
Research Abstract |
20年度は、複雑な天然有機化合物の構造解析、主として立体構造の解析を目的にし、1)プロトン-プロトンのシグナルの重なり合う領域でのプロトン-プロトンのスピン結合定数を観測する、2)high orderスピン系を解析する、3つプロトン-炭素問の遠隔スピン結合定数を観測する、という三点に重点をおいた新しい測定法の開発を目的とした。そこで、HETLOC法およびJ-resolved HMBC法といった従来法を検討し解決策を明らかにした。 まずは、プロトン-プロトンのスピン結合をデカップリングしシグナルを単純化する方法を検討し、selective pulseを導入したselective J-分解法の開発とその実験を行った。次にselective J-分解法とHMBC法の組み合わせたselective J-resolved HMBCの検討をした。この方法では従来型J-resolvedHMBC法と同じようなシブナルを与え、目的とするシグナルを得ることが困難であった。この問題をconstant time法で解決することがもっと優れていることを突き止め、プロトン-プロトンの複雑なスピン系に置いても10ngrange JCHの観測を可能としうるselective J-resolved HMBC法の開発をした。 一方、selective pulseを更に検討を進めた結果、予想もしないpulseとして、selective hard pulseの開発にいたった。このpulseは通常のNMR測定として使用するhard pulseのままselectiveexcitationが可能となる。このpulseをいかにselective J-resolved HMBC法に取り込めるか検討の段階である。このpulseはselective excitationの困難な装置において有用で有るばかりでなく、selective excitationの実験条件の設定が非常に容易となると思われる。
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