2009 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによる複雑な鎖状構造の立体化学を決める-その手法の開発と応用
Project/Area Number |
20580108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
降旗 一夫 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (20219091)
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Keywords | 遠隔スピン結合 / J-resolved HMBC / Selective J-resolved HMBC / J-resolved HMQC / selective J-resolved HMQC / High orderスピン系 |
Research Abstract |
21年度は、20年度に引き続き、複雑な天然有機化合物の構造解析、主として立体構造の解析を目的にし、1)プロトンープロトンのシグナルの重なり合う領域でのプロトンープロトンのスピン結合定数を観測する、2)high orderスピン系を解析する、3)プロトンー炭素間の遠隔スピン結合定数を観測する、という三点に重点をおいた新しい測定法の開発を目的とした。第一は、プロトンープロトンのスピン結合をデカップリングしシグナルを単純化する方法を検討し、selective pulseを導入したselective J-resolved HMBCの検討をした。J-resolved HMBC-1は、シグナルが複雑に観測され、long range Jchの解析が困難であった。そこで、隣接プロトンをすべてdecouplingし複雑なスピン系においても目的とするlong range Jchの観測を可能とするselective J-resolved HMBC法の開発をした。第二は、high orderスピン系の解析に有用なSelective J-resolved HMQC法の開発を行った。High orderのプロトンープロトンの解析は非常に困難で、しばしば曖昧な結果を招くことがあり、有機化合物の相対立体を決める時に問題であった。この問題を解決する方法として、J-resolved HMQC法にhomo-decoupling法を導入することを検討した。その結果、selective-J-resolved HMQC法を開発し、複雑なhigh orderのスピン系を単純化し、スピン結合定数の観測を容易にすることができた。
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