2010 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによる複雑な鎖状化合物の立体化学を決めるーその手法の開発と応用
Project/Area Number |
20580108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
降旗 一夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (20219091)
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Keywords | 遠隔スピン結合 / J-resolved HMBC / Selective J-resolved HMBC / Selective COSY-J-resolved HMBC / Bird-J-resolved HMBC |
Research Abstract |
22年度は、20年度,21年度に引き続き、複雑な天然有機化合物の構造解析、主として、1)プロトン-プロトンのシグナルの重なり合う領域でのプロトン-プロトンのスピン結合定数を観測する、2)high orderスピン系を解析する、3)プロトン-炭素間の遠隔スピン結合定数を観測する、という三点に重点をおいた新しい測定法の開発を目的とした。第一は、プロトン-プロトンのスピン結合による複雑なスピン系を単純化する方法として、Selective J-resolved HMBC法の開発をした。この方法は、隣接プロトンをすべてdecouplingし複雑なスピン系に置いても目的とするlong range JCHの観測を可能とした。さらに、新しくSelective-COSY-J-resolved HMBC法の開発に取り組んだ。この方法は感度の低い観測困難なプロトンの感度を如何に高めるかという観点から開発された。その結果、従来観測困難なプロトンでのlong range JCHの測定を可能にすることが出来た。第二はプロトン-プロトンのシグナルの重なり合う領域でのプロトン-プロトンのスピン結合定数を観測する目的から、新しくBIRD-J-resolved HMBCの開発に努めた。この方法はmultipletに分裂したプロトンシグナルに従来型homo-decouplingに代わり、新しくBIRDパルスによるdecouplingを試みたものであった。その結果、プロトン-プロトンのスピン結合ばかりでなく、long range JCHも同時に観測することができ、複雑なスピン系の解析が可能になった。
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