2009 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の自己胞子発芽制御物質から探る微生物に共通な胞子発芽の制御メカニズム
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20580109
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
夏目 雅裕 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (10201683)
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Keywords | 放線菌 / 発芽抑制物質 / germicidin / hypnosin / Streptomyces viridochromogenes / Streptomyces griseus |
Research Abstract |
(1)各種Streptomyces属菌の胞子中のhypnosinとgermicidinの存在量の定量 本年度はS.viridochromogenesとS.griseusについて分析を行った。それぞれの菌の寒天培養物から胞子をガラスビーズ法により集めて、抽出物を得た。LC-MS分析の結果、S.viridochromogenes抽出物からはgermicidin A,Bおよびgermicidin Dが検出されたが、S.griseusの胞子抽出物からは既知の発芽抑制物質は検出できなかった。S.viridochromogenesに含まれる発芽抑制物質の量がこれまでに調べたメロンがんしゅ病菌やS.coelicolorにおける含量と比べてかなり少ないため、実験を繰り返している。 (2)Hypnosinとgermicidinの構造活性相関の解明Hypnosinの類縁化合物としてはイネいもち病菌の胞子発芽抑制活性が報告されているpicolinic acidがhypnosinとほぼ同程度の、Bacillus属細菌の発芽抑制物質と考えられているdipicolinic acidが比較的強い、発芽抑制作用を示した。Picolinic acidのいもち病菌胞子に対する作用もhypnosinと同様可逆的であることや、picolinic acidもdipicolinic acidもキレート作用が知られていることから、放線菌の胞子発芽における金属イオン等の役割に興味が持たれ、作用機作解明の足がかりをつかめた。これまでにS.coelicolor胞子の発芽はhypnosinとgermicidin類で同程度に抑制されることを明らかにしているが、S.viridochromogenesでも同様であることが確かめられた。また、germicidin類より単純な構造の3,6-dimethy1-4-hydroxy-2-pyroneも同程度の活性を示したことから、germicidin類の活性は4-hydroxy-2-pyrone構造に基づくものであり、3位と6位の置換基の大きさは活性に影響しないことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)