2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症抑制活性を持つザルコドニンの合成と生物有機化学的研究
Project/Area Number |
20580110
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
真壁 秀文 Shinshu University, 農学研究科, 准教授 (90313840)
|
Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 生理活性 |
Research Abstract |
担子菌ケロウジの成分であるsarcodoninr類は炎症抑制作用や抗がん作用など種々の生理活性を示す興味深い化合物である。このsarcodonin類の炎症抑制活性は市販の抗炎症剤であるindomethacinと比べても強力であるが,少しの構造変化で活性の強さは大きく変化する。 (1)Sarcodonin Jの不斉合成研究 Sarcodonin JはSarcodonin類の中では比較的合成が容易な化合物であり,効率的な合成経路の確立は種々のsarcodonin類のモデルとなりうる。まず(-)-Wieland-Miescher ketoneよりkinetic enolate trappingなどを駆使して合成を進め,シクロペンテノン部分のアルキル化には有機亜鉛化合物を用いた根岸クロスカップリング反応や有機スズを用いたStille反応が効果的であった。出発物質の効率的な調製に課題があり改善法を検討している。 (2)Sarcodonin類の14位の水酸基が活性に及ぼす影響 14-deoxy-sarcodonin Aの合成を目的として誘導体化を試みた。その結果14位水酸基をメシル化後,ヒドリド試薬と反応させたところ,シクロプロパン環構造を持つ誘導体を得た。さらに14位の水酸基をメシル化後,塩基性条件でMs基を脱離させ,Pd触媒による接触水素添加を行14-deoxy-sarcodonin Aを得た。シクロプロパン誘導体と14-deoxy-sarcodonin Aは炎症抑制活性が非常に低下した。従ってsarcodonin Aの14位水酸基が活性発現に重要であることを強く支持する結果が得られた。
|