2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア障害作用物質が示す薬効増強効果発現メカニズム
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20580113
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤田 憲一 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10285281)
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Keywords | アネトール / 薬剤耐性 / 薬剤排出ポンプ / PDR5 / 相乗効果 / 抗真菌性抗生物質 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
フェニルプロパノイド類の一種であるtrans-anethole(アネトール)はセリ科植物から抽出される油状成分であり独特の芳香を放ち、甘味料・保存料として広く食品に添加されており、微生物に対しても微弱ながら抗菌活性を示す。また、本物質はポリゴジアール類、ナギラクトン類、長鎖アルコール類などの他の薬剤と組み合わせることで相乗的な抗真菌活性を発揮することがすでに判明している。本研究では、アネトールとドデカノールを併用した際に発揮される相乗的な抗真菌活性発現メカニズムを、出芽酵母の薬剤耐性に関わっている薬剤排出ポンプ、ABCトランスポーター群に焦点を絞って遺伝学的に解析した。その結果、ドデカノール処理によって少なくとも多剤耐性に関与する薬剤排出ポンプであるPDR5の発現量が増大し、アネトールとの併用によりPDR5の発現は強く抑制されることが判明した。加えてPDR5欠損株はドデカノール感受性が高まった。さらにPDR5の発現を制御していると報告されている転写因子PDR1およびPDR3ついてもアネトールとの併用によりその発現が抑制された。ドデカノール耐性株の取得についても成功し、本耐性株においてはPDR5の発現量が著しく増大していることが確認された。以上より、ドデカノール耐性にはPDR5が関与し、アネトールは少なくともPDR5の発現抑制を介して、ドデカノールとの相乗的抗真菌作用を発揮するものと見なされた。
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