2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物酵素触媒と有機合成を相補的に活用する有用物質生産
Project/Area Number |
20580114
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須貝 威 Keio University, 薬学部, 教授 (60171120)
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Keywords | 微生物還元 / 位置選択的加水分解 |
Research Abstract |
グリカール誘導体の位置選択的脱保護を可能にする、加水分解酵素の探索については、以下に示す検討を行った。トリアセチル-D-グルカールは、グルコースより2段階で合成可能、しかも1,2位を修飾することができる化合物であり、さまざまな2-アミノ糖類への変換が期待できる。しかし、それには3箇所のアセチル基を位置選択的に脱保護し、反応性の官能基を導入する必要があり、従来報告されている事例は、非常に多くの工程を要するものばかりである。N-アセチル-D-マンノサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン糖などを究極の標的物質とし、出発段階としてトリアセチル-D-グルカールの3位および4-位のアセチル基を選択的に加水分解できる酵素を探索した。豚肝臓エステラーゼや、エポキシドヒドロラーぜなどを見出したが未だ十分な選択性は得られておらず、研究を継続している。生物活性物質、食品成分分析に有用な、光学活性ベンズジオキソランカルボン酸の化学-酵素的調製法の開発については、以下の成果を得た。標題のカルボン酸は、蛍光を有し、生物活性物質や食品成分の誘導体とした場合、非常に微量でもクロマトグラフィー的分析により、化合物の立体化学や光学純度を正確に決定することができるので、光学活性体の大量調製が求められている。まず、ラセミ体を化学合成、メチルエステルとしたのちに酵素加水分解による光学分割を試みたが、満足な選択性を得ることができなかった。そこで、前駆体となるケトンを不斉還元できる微生物を探索し、G.candidumを用いることにより光学活性誘導体を得ることができた。
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