2008 Fiscal Year Annual Research Report
生物間相互作用に関わるセスキテルペンの構造多様性を生み出す遺伝的メカニズムの解明
Project/Area Number |
20580117
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 真 The Institute of Physical and Chemical Research, 吉田化学遺伝学研究室, 専任研究員 (20261167)
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Keywords | マイコトキシン / アセチル化酵素 / ムギ類赤かび病菌 / 二次代謝 / 遺伝子クラスター / 生合成 / セスキテルペン / 多機能酵素 |
Research Abstract |
トリコテセンの生合成経路において、中間体isotrichodermolのC-3位をアセチル化してisotrichoderminに変換するステップは、それ以降の生合成酵素が機能、作用するためには必須である。しかし、この反応を行う酵素遺伝子Tri101は、トリコテセン生合成遺伝子クラスター内の生合成遺伝子とは物理的にも進化的にも離れて存在している。このようにクラスター外のTri101依存性で、水平伝搬による生き残りには進化的に不利と考えられる二次代謝遺伝子クラスターがトリコテセンを生産するフザリウムに存在することは謎である。そこでクラスター中に2つあるアセチラーゼ遺伝子のうち、Tri3がコードするC-15アセチラーゼがC-3位をアセチル化する活性を有するかどうかについて調べた。高濃度(50μM)の組換えTRI3を用いて反応を行うと、本来の基質15-deacetylcalonectrinのC-15位をアセチル化する本来の活性と比べて5桁以上非効率的ではあるが、isotrichodermolのC-3位をアセチル化する微弱な活性を見出すことができた。さらにニバレノールを基質として用いた実験において3,15-diacetylnivalenolを検出し、TRI3がC-3位もアセチル化することを示した。C-3をアセチル化する微量の活性は、祖先トリコテセン遺伝子クラスターにおいて、もともとは自立的なクラスターであったことを示唆するのかも知れない。
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