2009 Fiscal Year Annual Research Report
生物間相互作用に関わるセスキテルペンの構造多様性を生み出す遺伝的メカニズムの解明
Project/Area Number |
20580117
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 真 The Institute of Physical and Chemical Research, 吉田化学遺伝学研究室, 専任研究員 (20261167)
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Keywords | マイコトキシン / 脱アセチル化酵素 / ムギ類赤かび病菌 / 二次代謝 / 遺伝子クラスター / 生合成 / セスキテルペン / 多機能酵素 |
Research Abstract |
ニバレノール(NIV)型トリコテセン生産菌は、液体米煮汁培地中では4,15-diacetylnivalenol(4,15-diANIV)と4-acetylnivalenol(4-ANIV)を生産し、固体米培地上では4-ANIVとNIVを生産する。NIV型トリコテセン生産菌の液体培養におけるトリコテセン関連物質の代謝物の経時的変化を調べたところ、3,4,15-triacetylnivalenol(3,4,15-triANIV)→4,15-diANIV→4-ANIVの順に脱アセチル化が進むことが示唆された。この結果は、固体培養で本菌がNIVを生産するためにはさらにもう一段階C-4位の脱アセチル化が起こり、液体培地での最終産物4-ANIVが固体培地での最終産物NIVへと変換することを示唆する。そこでトリコテセン生合成の初発の遺伝子を破壊したFgTri5^-株を固体培養し、4,15-diANIV、4-ANIVをフィーディングしてその代謝物産物を解析した。4,15-diANIVをフィーディングした菌糸では4-ANIV、15-acetylnivalenol(15-ANIV)、およびNIVが新たに検出され、4-ANIVをフィーディングした菌糸ではNIVが新たに検出された。そこで固体米培養における気中菌糸からタンパク抽出液を調整して4-ANIVと反応させたところ、NIVへの変換が認められた。タンパク抽出液を熱処理したものと反応させてもC-4位の脱アセチル化は認められなかったことから、固体米培地で誘導される酵素によってNIV生合成の最終ステップ、すなわち4-ANIVのC-4位脱アセチル化が進むことが証明された。
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