2010 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンEによる脂質アルキルラジカル捕捉反応の解析
Project/Area Number |
20580125
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山内 亮 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50126760)
|
Keywords | ビタミンE / トコフェロール / 脂質過酸化反応 / フリーラジカル捕捉 / 抗酸化剤 |
Research Abstract |
脂質過酸化反応に対するビタミンE(α-TH)の作用機構を明らかにする目的で、脂質アルキルラジカルとの反応生成物を検討した。まず、ヒト血漿脂質の主成分であるコレステロールリノール酸エステル(ChL)由来のアルキルラジカルとα-THとの反応生成物として、α-THの6位水酸基にChLアルキルラジカルあるいはepoxyChLアルキルラジカルが結合した6-ο-ChL-α-THと6-ο-epoxyChL-α-THを分離し、それらの構造を決定した。さらに、生体膜を構成するリン脂質である1-パルミトイル-2-リノレオイル-3-sn-ホスファチジルコリン(PLPC)由来のアルキルラジカルとα-THとの反応生成物として、6-ο-epoxyPLPC-α-THの構造を決定した。次に、生体系におけるこれらビタミンE付加体の生成を高感度に検出するための分析法を検討した。6-ο-脂質-α-THは高速液体クロマトグラフィーで分離した後、プラチナ還元カラムを通すとα-THに変換できたので、これを蛍光検出することによって高感度分析が可能となった。本分析法を使用して、ChLとPLPCから調製したヒト血漿低密度リポタンパク質モデル溶液の脂質過酸化反応におけるα-THの抑制作用を検討した。その結果、酸素を十分に供給した脂質過酸化系で、α-THは脂質ペルオキシルラジカルを捕捉してα-TH-脂質ペルオキシルラジカル付加体を形成したが、酸素供給が不十分な反応系ではアルキルラジカルも捕捉してα-TH-脂質アルキルラジカル付加体を生成できることが示された。従って、脂質過酸化抑制において、ビタミンEは脂質ペルオキシルラジカルだけでなく、低酸素条件下では脂質アルキルラジカルを捕捉できることが明らかとなった。
|