2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内におけるカロテノイドとペルオキシナイトライトの反応機構の解明研究
Project/Area Number |
20580126
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
衛藤 英男 静岡大学, 農学部, 教授 (10076747)
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Keywords | カロテノイド / ペルオキシナイトライド / 抗酸化 / ニトロ化 / 酸化分解 |
Research Abstract |
生体内で発生する活性窒素種、特にペルオキシナイトライトが発ガンに関係することは分かっているが、その消去に優れているカロテノイドの消去機構の解明が遅れている。アスタキサンチンおよびβ-カロテンがペルオキシナイトライトと反応しニトロ化することで、活性窒素種を消去していることを世界で初めて明らかにした。その後、ルテイン、カプサンチンおよびフコキサンチンとペルオキシナイトライトの反応を行い、それらもニトロ化が起こっていることを解明した。特に、ルテインではオキサジンカロテノイドの生成を明らかにした。カプサンチンの場合は、12位がニトロ化された12-ニトロカプサンチンが生成し、フコキサンチンでは、11-シス-11-ニトロフコキサンチンおよび14,9'-ジシス-15-ニトロフコキサンチンが生成し、カロテノイドの構造によってニトロ化する位置が異なることが分かった。その理由を明らかにするため、分子軌道法を用いた安定ラジカルの計算とニトロ化生成物の安定性と生成物比の関係を調べたところ、関連性があることが分かり、他のカロテノイドとペルオキシナイトライトの反応におけるニトロ化の構造中の位置の予測が可能であることも分かった。 以上の結果は、生体内で発生する活性窒素種、ペルオキシナイトライトの消去にカロテノイドがどのような役割を果しているかの情報を与えることが出来、今後の細胞レベルでの研究の発展に寄与するとともに、カロテノイドの摂取の意義が分かり、サプリメントなどへの利用の可能性の途を開くものと期待される。
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