2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい結晶変換技術によるサブミクロン多孔構造を有する新規糖質結晶の創製と応用
Project/Area Number |
20580130
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉井 英文 香川大学, 農学部, 教授 (60174885)
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Keywords | 結晶変換 / マルトース / トレハロース / エタノール / Jander / ガラス転移温度 / 含水結晶 / 糖質構造 |
Research Abstract |
新たな糖質結晶構造体を作製する手法,すなわち結晶変換という結晶再構築により微細な構造体を作製する手法として,エタノールを脱水溶媒として含水結晶から結晶水を提案し,トレハロース含水結晶、マルトース含水結晶の脱水操作を実施した、この方法は,ビルドアップ型の結晶構造の再構成というナノ構造の構築手法として非常にユニークな手法である。β-含水結晶マルトースを、エタノール法で脱水すると個々の結晶粒子は球状に近い形状に変化していた.β-含水結晶マルトースの消失率,β-無水結晶マルトースの生成率,マルトースの含水率の測定より求めた脱水率を,DSC,含水率測定より求め,Janderの式により脱水反応速度定数,及びβ-含水結晶マルトースの消失反応速度について100kJ/mol,β-無水結晶マルトースの生成速度定数について,90kJ/molが得られた,β-無水結晶マルトースの生成速度定数が,脱水反応速度定数及びβ-含水結晶マルトースの消失反応速度よりも遅く,結晶変換反応においてβ-無水結晶マルトースの生成が律速と考えられた.含水結晶トレハロースから無水結晶トレハロースを、DSCパンを用いて行った。エタノール中の含水率が脱水挙動に大きな影響を及ぼした。エタノール中の含水率0.005%、0.4%.2.5%のエタノールの場合、屈曲点温度61.5℃,75.4℃,81.6℃が観察された.屈曲点温度以下の温度に対する活性化エネルギーは約141-145kJ/molであった.エタノール法による糖質の脱水により、多孔性で比表面積が非常に大きな新規構造をもった糖質を作製できた。この脱水において、エタノール中の水の存在が糖質のガラス転移温度に影響を及ぼし、脱水速度のガラス転移温度前後で変換速度の活性化エネルギーが変化した。
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