2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症性食因子の究明と作用機序に基づくそれら因子の化学的類型化
Project/Area Number |
20580139
|
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
大東 肇 福井県立大学, 生物資源学部, 特任教授 (80026583)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正和 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (80315837)
|
Keywords | 食品 / 生理活性 / 農林水産物 / バイオテクノロジー / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究代表者らは多様な生活習慣病の予防に期待できる食品成分を開発してゆくために、抗炎症活性を有する植物性食素材成分の開発(NOやO_2^-などのラジカル産生抑制効果をin vitroで検討)とその作用機序の解明を行っている。本年度では、1,3-ジアシルグリセロール(ホウレンソウ)、ペルセノンC(アボカド)を、またナツメよりp-クマロイルアルフィトール酸(CAA、従前ナツメより単離)の関連成分3種を、新たにNO産生抑制物質として単離・同定した。これらNO産生抑制成分は炎症に関連するiNOSやCOX-2タンパク質の産生を抑制することをin vitroで確認した。 一方、マクロファージにおける炎症系モデルとしてLPS刺激によるNO産生におけるシグナル伝達系・MAPK経路が注目されている。したがって、各種NO産生抑制性食素材成分が、本系において、MAPK経路中のどこで作用するかについて興味がもたれる。そこで、多様な抗炎症性フラボノイド関連成分についてMAPK経路に与える影響を探ったところ、微細な炭素骨格(または酸素官能基の位置やカルボニルの有無)によってMAPK系における作用ポイントが異なることが判明した。すなわち、フラボノイドC環が開環したカルコンやフラバノール型化合物(EGCGなど)ではERKやJNKなどのMAPKsの活性化を抑制するに対し、フラボンタイプ化合物ではiNOSやCOX-2の転写因子の活性化段階を阻害することが示された。また、フラボン型のそれとは炭素骨格を異にするゲニステインでは転写因子の不活化とともに、翻訳段階も阻害している可能性が示唆された。なお、先にあげたトリテルペノイドCAAでは、MAPKsや活性化や転写段階の抑制ではなく、その後の過程を制御(mRNAの安定化阻害/翻訳阻害/タンパク分解促進?)する可能性が示唆されている。
|