2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580148
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Research Institution | Toyama Institute of Health |
Principal Investigator |
小玉 修嗣 Toyama Institute of Health, 化学部, 副主幹研究員 (70360807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敦 中部大学, 応用生物学部, 教授 (60360806)
會澤 宣一 富山大学, 理工学研究部, 教授 (60231099)
多賀 淳 近畿大学, 薬学部, 講師 (20247951)
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Keywords | キャピラリー電気泳動 / 光学分割 / 単糖 / L-糖 / 配位子交換 |
Research Abstract |
目的:自然界における糖類はD-グルコースを代表とする、いわゆるD-糖から構成されているが、L-糖を含む希少糖は存在するのだろうか?本研究課題では、植物や食品を分析対象として、L-糖を含む希少糖が存在するか否かを明らかにすることにある。平成20年度は(1)実試料分析を行うための前処理方法の検討、及び(2)分析法として用いるキラル配位子交換キャピラリー電気泳動法の分離メカニズムの検討を行った。 結果:(1)メープルシロップ及びメープルシュガーを試料とし、通常のアキラルなキャピラリー電気泳動法を用いて前処理方法を検討した。その結果、温エタノールで試料を溶解させ、エバポレーターで濃縮後ろ過することにより、妨害物質の影響を受けずに単糖類を分析できることがわかった。さらに、メープルシロップ及びメープルシュガー中のグルコース含量はほぼ同じであったのに対し、メープルシュガーのマンノース含量はメープルシロップのそれに比べて約1.5倍高かったことをみいだした。(2)配位子にD-キナ酸を、中心イオンにCu(II)、Zn(II)及びNi(II)の3種類のイオンを用い、イソクエン酸と酒石酸の光学分割能を比較検討した。その結果、Cuイオンでは酒石酸が、また、Znイオンではイソクエン酸が光学分割されたのに対し、Niイオンでは両化合物とも光学分割された。このような差異は、Cuイオンは4配位平面錯体、Znイオンは4配位四面体錯体、Niイオンは6配位八面体錯体を形成することに起因しているものと思われた。 今後の検討:(1)メープルシロップ及びメープルシュガー中の単糖類の光学異性体分析を行うとともに、他の植物や食品試料についても前処理方法を検討する。(2)キラル配位子交換法の分離メカニズムの検討を継続する。
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