2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林再生の初期段階における外生菌根菌感染源の移入経路の解明
Project/Area Number |
20580149
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
橋本 靖 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 助教 (40332481)
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Keywords | 外生菌根 / 海岸林 / クロマツ / きのこ / ショウロ / チチアワタケ / 共生 / シカ |
Research Abstract |
多くの木本植物にとって、外生菌根菌から得られる養分吸収やストレス耐性の促進効果は、新たな立地に定着し生育を開始する際、重要な役割を担っている。そのため、植物と菌がうまく巡り会い共生系を確立できるか否かが、植物定着の鍵となる。一方で、植物が新たな生育地に定着する際に、植物の定着が先に起こるのか、共生菌の定着が先に起こっているのかは、植生の再生や維持機能を考える上で興味深い。本研究では、海岸砂丘でいまだに宿主樹木の定着がない場所において、どのような外生菌根菌が感染力を保って存在するのかを明らかにすること、また、その菌がどのように侵入しているのか明らかにすることを目的としている。平成20年度の北海道えりも岬の海岸砂丘での調査の結果、海に近い植生の全く無い場所を含め、外生菌根性の植物が生育していない場所の砂中においても、複数種の外生菌根菌の存在が確認された。植生の乏しい海側で主に出現した外生菌根菌は、シーケンスによる同定の結果、ショウロやチチアワタケなどであった。一方、同調査地で海岸部にて採取した野生シカの糞中から外生菌根菌を検出した結果、実験に用いた糞の30%以上から、4種の外生菌根菌が検出された。その内、チチアワタケが全体の約15%の糞から出現した。このように海岸砂丘において、外生菌根性の樹木が侵入する前から、感染力を保持した外生菌根菌が潜在的に土壌中に存在している可能性が示された。また、野生のシカが菌の子実体を食べ海岸部で糞排泄することで、これら植生回復前の海岸部土壌への外生菌根菌の感染源の運搬要因の1つとして働いている可能性が示された。
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Research Products
(1 results)