2008 Fiscal Year Annual Research Report
大型野生獣の餌環境に配慮したナラ枯れ跡地管理のための森林再生システム構築
Project/Area Number |
20580152
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
紙谷 智彦 Niigata University, 自然科学系, 教授 (40152855)
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Keywords | 樹種判読 / 林床植生 / ナラ枯れ / 人工ギャップ / 更新 / 景観スケール |
Research Abstract |
広域的なナラ枯れ林分の分布とナラ枯れに伴う樹種交代を景観スケールで把握する方法を確立するために、紅葉期に撮影された空中写真を使って、樹冠色の違いによる樹種判読の可能性を検討した。その結果、紅葉色の異なる数樹種で判読可能と認められたが、2009年度の春に開葉色の空中写真を撮影して、同じ樹冠を識別して併せて判読することによって、樹種判読の的中率が高められると結論づけられた。 これら判読対象の樹種を数タイプに分類して、現地でそれら林冠構成樹種の違いと林冠下の光環境、出現した植物種の関係とを解析した。その結果、林冠がブナ優占タイプとナラ優占タイプでは、林床に出現する低木層と草本層の種構成が明瞭に異なることが明らかになった。すなわち、開葉が早く耐陰性の高いブナの厚い樹冠下には、低木層は発達しにくく、逆に開葉が遅く、樹冠の薄いナラ型樹冠下では常緑低木が有意に高い出現率を示した。 さらに、15年目に入った人工ギャップ実験地がナラ枯れで拡大したことから、拡大型ギャップと縮小型ギャップにおける林床光環境の変化と更新パターンの違いを調査した。その結果、ギャップサイズに関係なく、ギャップ下で前半5年間に更新樹種が増減したケースが多かった。また、後半5年では高木種の樹高はギャップサイズが大きいほど高くなる傾向があった。ナラ枯れは植物種多様性を急速に低下させた。したがって、ギャップサイズは時間の経過によって、植生と高木種の更新に影響を及ぼすことが明らかになった。
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Research Products
(4 results)