2009 Fiscal Year Annual Research Report
大型野生獣の餌環境に配慮したナラ枯れ跡地管理のための森林再生システム構築
Project/Area Number |
20580152
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
紙谷 智彦 Niigata University, 自然科学系, 教授 (40152855)
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Keywords | 樹種判読 / 林床植生 / ナラ枯れ / 人工ギャップ / 更新 / 景観スケール / フェノロジー / 種子生産量 |
Research Abstract |
広域的なナラ枯れ林分の分布とナラ枯れに伴う樹種交代を景観スケールで把握する方法を確立するために、昨年度は、紅葉期に撮影された空中写真を使って、樹冠色の違いによる樹種判読の可能性を検討した。今年度は、ブナ・ナラ混交二次林を対象に、開葉が早いブナの特性を利用して早春に空中写真を撮影し、ブナ樹冠を特定して、景観スケールでブナとナラの樹冠分布図を作成した。 この樹冠分布図を使って、豊作年のブナに加えて,豊作年のコナラ林の落下種子量から脂質と炭水化物量を算出して、1haメッシュ上に示した。脂質はブナ樹冠密度が高い部分に偏って分布した。一方,ブナを凶作年と仮定した場合、炭水化物の分布には影響が無かったのに対して,脂肪生産のレベルと範囲は著しく減少した。 一方、季節的な光環境の変化を評価するために、ブナ・ナラ混交二次林40林分において展葉期と落葉期に一週間間隔で光量子センサーにより光合成有効光量子束密度を測定した。低木層を常緑優占・落葉優占・低木無しの3タイプに分類したところ、これらの構成比は林冠木のフェノロジーの違いによって有意に異なった。また、林冠優占種が同じタイプであっても低木層の組成の違いにより草本層の植物種の出現頻度には偏りがみられた。以上の結果より、落葉広葉樹林における林冠層と低木層の樹種構成の違いが林床に複雑な光環境を生み出し、そのことが林床植物相を多様にしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)