2008 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄島嶼域に生育する有用樹の開花フェノロジーと送受粉機構・結実機構に関する研究
Project/Area Number |
20580157
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
谷口 真吾 University of the Ryukyus, 農学部, 准教授 (80444909)
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Keywords | 沖縄島嶼 / 開花結実 / 開花フェノロジー / 結実フェノロジー / 送粉・受粉機構 / 結実機構 / 亜熱帯性樹木 / 繁殖特性 |
Research Abstract |
沖縄島嶼域に生育する亜熱帯性有用樹の繁殖特性を解明した。 1.フクギ:雌雄異株性であるフクギの開花期は、雄花は5月下旬〜6月中旬と8月上旬〜8月下旬の年2回、雌花は5月下旬〜6月中旬と7月上・下旬〜8月下旬、9月中旬の年3回であった。雄花の花群数は15個前後(1〜55個)で平均7.7個、雌花の花群数は最大5個以下で平均1.9個であった。フクギは複雑で不完全な雌雄異株性の性表現をもち、「雄花」、「雌花」、「両性花」の3性型であった。 果実の落下率は38〜90%であった。幼果実の落下期は6月中旬〜7月下旬であった。7月下旬〜8月下旬までの期間、幼果実数が安定し、8月下旬〜9月下旬までの35日間に種子成熟がみられた。果実の成熟過程は、結実後35日経過(7月下旬)すると成熟期とほぼ同じ大きさに達した。果実は果実数が安定する中期に著しく肥大した。結実後70日経過(8月下旬)すると種子に発芽力が発生した。 2.テリハボク:雌雄同株であるテリハボクの開花期は7月ll日〜7月31日、9月12日〜10月27日の年2回であった。7月開花の結実は9月20月〜1月20日であり、9月開花の結実は12月8日〜4月23日であった。7月開花は開花後120日以降に果実が成熟した。また、9月開花の果実成熟は220日以降であった。果実の比重は0.4以下であり水に浮いた。発芽部位(果実の上半分の突起部付近)では、中果皮のコルク層の厚さは薄く、逆に果実の下半分における中果皮のコルク層の厚さは厚かった。果実の下半分のコルク層厚は、果実の上半分のコルク層厚に比べ3.0〜3.4倍であった。したがって、水に浮かすと果実の上半分(発芽部位)が常に水面下を向く状態で水面近くを浮遊した。 3.モモタマナ:雌雄同種で穂状花序をもつモモタマナの性表現は、穂状花序の先端上部域は雄花、基部付近は両性花であった。5月上旬に開花し、9月上旬までの4ヵ月間、花序単位で開花と枯死(脱落)を繰り返した。穂状花序は開花期の初期(5月〜7月上旬)には雄性先熟性であり、それ以降は雌性先熟性であった。結実する直前の10〜20日間の開花率は著しく高い傾向であった。果実生産は7月下旬と8月下旬〜9月中旬の2回結実した。果実の途中落下は少なかった。果実の成熟は外果皮が黄・赤変する9月下旬頃であった。
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Research Products
(7 results)