2008 Fiscal Year Annual Research Report
松枯れ後の海岸林再生に向けた広葉樹モデル林構築とその有効性評価に関する研究
Project/Area Number |
20580161
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉崎 真司 Musashi Institute of Technology, 環境情報学部, 教授 (50318622)
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Keywords | 松枯れ / 海岸林再生 / 広葉樹林 / モデル林 / 有効性評価 / 耐潮性 / 飛塩・飛砂現象 / 天然更新 |
Research Abstract |
平成20年度は本研究の初年度であったので、研究遂行にあたり既存事例の収集に力を入れて調査を行った。マツ枯れ後の広葉樹の侵入については近年、報告が目立つようになってきたが、広葉樹の海岸林を直接取り扱ったものは少ない。そこで、研究代表者は、昭和35年の伊勢湾台風で海岸林が大きなダメージを受けたと言われている渥美半島の田原市に成立している堀切海岸林(太平洋側)を視察した。また、同地域の伊勢湾側に成立し現在は松枯れで大きな問題になっている海岸林を視察し、クロマツ実生による天然更新が活発に発生している場所も確認した。その結果は、今後の広葉樹の海岸林造成のヒントになるものであり、同時にクロマツ海岸林の再生可能性を示唆するものであった。 一方、従来実施してきた神奈川県湘南海岸ではクロマツの根茎と共生する外生菌根について調査を行った。その結果、クロマツの立木密度と菌根数には正の相関関係が認められた。また、広葉樹が導入されるとクロマツの菌根は影響を受け、土壌中の有機物量の多少がその要因の一つではないかと考えられた。種組成に関しては、広葉樹の導入によって明らかな違いは認められなかった。 遠州灘海岸林では、新規にマツ枯れ後の林相図を作成してクロマツ林が減少し、広葉樹低木林の顕著な増加を確認することができた。また、松枯れ処理されたマツチップのpHはクロマツや広葉樹落葉に比べて強い酸性を示し、地表面に散布されたチップが、今後の林床植生の変化に影響を及ぼすのではないかと考えられた。
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Research Products
(3 results)