2008 Fiscal Year Annual Research Report
ブナ花成変異系統の解析による広葉樹開花・結実周期の予測
Project/Area Number |
20580168
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大宮 泰徳 Forestry and Forest Products Research Institute, 林木育種センター東北育種場, 主任研究員 (70360469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤田 辰治 弘前大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (10250630)
上村 松生 岩手大学, 農学部付属寒冷バイオフロンティア研究センター, 教授 (00213398)
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Keywords | 遺伝子 / 植物 / 発現制御 / 森林工学 / ブナ |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者の所属機関が保有する開花・結実に周期性を有する正常クローンと周期性が失われた変異クローンについて、花芽形成関連遺伝子群(FT,CO,FLC,EBSなど)の遺伝子多型を解析し、豊凶が失われた原因となる遺伝子変異をつきとめることによって、ブナの周期的な開花・結実の豊凶のしくみを分子レベルで解明することを目的とする。 また、本研究を通して、COからFT遺伝子への情報の流れを軸としたブナの光周性花成制御経路とその制御機構を明らかにするとともに、本研究で得られた遺伝子多型解析の結果から、選択圧がもたらす遺伝子変異や生理学的変化を、進化的観点から考察する。 平成20年度は、4種類のCO-Like(COL)遺伝子のcDNA全長を単離し、16種類のシロイヌナズナCOL遺伝子との系統樹解析からCOに相当する機能を持つ遺伝子を特定した。CO遺伝子発現の季節変化を調べたところ、花芽が形成される6月-7月頃と8月の終わりの2つの発現のピークがあった。東北育種場内のブナ38クローンについてCO遺伝子の多型を調べたところ、COタンパク質活性に影響を与えうるアミノ酸変異は見いだされなかった。 また、全長約5kbpと推定されるFT遺伝子のゲノムDNA単離し、ポプラのFT遺伝子と86%の相同性が認められた。しかし、一つのλクローンに全長が挿入されているものが無く、5'末端をinverse PCRによって増幅できたが、相同な2クローンのキメラ配列として単離され、それぞれ全長の単離を進めている。また、FTの季節変化および日周変動の解析については平成21年度に予定している。
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