2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高野 俊幸 京都大学, 農学研究科, 教授 (50335303)
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Keywords | バイオマス / 環境技術 / バイオミメティク触媒 / リグニン / 脱水素重合 / 光電変換機能 / セルロース誘導体 / キトサン誘導体 |
Research Abstract |
これまで、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)の活性センターに相当するHematinを固定化したセルロース誘導体(6-ADC-Hematin)、キトサン誘導体(Chitosan-Hematin)(ただし、Hematinの置換度:0.06程度)のフェノール性酸化能について検討してきたが、今年度は、Hematinの置換度向上のための均一反応系によるHematin導入反応の検討、および課題申請時に予想される機能としていた光電変換機能についての2点について検討を行った。 前者については、キトサンの構成単位であるN-グルコサミンとHematinの反応を均一反応系のモデル反応として行った。その結果、反応自体は、高収率に進行するものの、生成物の単離・精製に大きな課題があることが判明した。そこで、単離・精製法について検討したところ、セルロースやキトサンのようなポリマーへの導入反応の場合、酢酸濃度を微妙に変えることにより、生成物の単離・生成が可能であることを見出した。また、N-グルコサミン-Hematinの構造解析データから、6-ADC-Hematin、Chitosan-Hematinのキャラクタリゼーションのための基礎データを得ることが出来た。現在、均一系で調製した6-ADC-Hematin、Chitosan-Hematinのキャラクタリゼーションを行っているところである。後者については、6-ADC-Hematinが光電変換機能を示したものの、その能力は低かった(Hematinの導入率が低いことも一因である。)。そこで、Hematinと類似な大環状ポルフィリン構造を有するフタロシアニン環のセルロースへの導入を検討した。合成方法としては、セルロースにフタロジニトリル基を導入し、次いで環化反応を行う方法を採用した。その結果、フタロシアニン環の置換度:0.5~0.6程度導入したセルロース誘導体(Ph-Cellulose)を得ることができ、その誘導体は、良好な光電変換機能を示した。フタロシアニンは、種々の触媒機能が報告されており、Ph-Celluloseは、新たなバイオミメティック触媒として期待される。
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