Research Abstract |
マツタケは外生菌根を形成する食用きのこで,生態系では樹木を宿主として共生しており,その近縁種には,バカマツタケ,ニセマツタケといったマツタケと似た性質を持つ食用きのこがある.これらマツタケおよびその近縁種は,アジア,ヨーロッパ.アフリカおよびアメリカなど世界各地に分布しており,これらの宿主は多様であることが明らかになっており,アカマツなどのマツ属のほかに,トウヒ属,ツガ属の斜葉樹林,常緑かし類を主体とする広葉樹林でもマツタケが発生することが報告されている、そこで,本研究ではこれらのよく似た性質を持つマツタケおよびその近縁種のきのこについて,mtSSU rDNA V4領域,核rDNA ITS領域の塩基配列が,きのこの生物種および,種・品種レベルでの異同を推測有効であるという報告をもとに,その塩基配列を分子系統学的に分析し,生物種と発生する地域の関連のおよび交配の可能性について検討した. 本研究では,アカマツなどの針葉樹を宿主とする日本産,韓国産,北朝鮮産,中国四州省で採集した,かしの木を宿主とするマツタケ,中国雲南省で採集した同じくかしの木を宿主とするマツタケ,さらに,マツタケの近縁種とされる,バカマツタケ,ニセマツタケを含む,40菌株のマツタケおよびその近縁種のきのこのmtSSU rDNA V4領域,核 rDNA ITS領域の塩基配列より系統樹を作成したところ,V4領域では,マツタケ,バカマツタケ,ニセマツタケは異なるグループとなり,マツタケ,バカマツタケにおいては複数のクラスターに別れた.しかし,同一のクラスター内で産地および宿主植物の種類の異なるものが混在し,ITS領域においても同様に混在することが分かった.次に,V4領域,ITS領域に加え,交配に関わる遣伝子のクローニングを試みた.
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