2010 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリの階級分化機構の解明とシロアリ養殖によるバイオディーゼル燃料生産への応用
Project/Area Number |
20580183
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
板倉 修司 近畿大学, 農学部, 教授 (60257988)
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Keywords | シロアリ / バイオディーゼル / ヘキサメリン / RNA干渉 / 長鎖dsRNA / 短鎖dsRNA / 脂質 / 脂肪酸組成 |
Research Abstract |
ヤマトシロアリのヘキサメリン遺伝子の部分配列(635-1219塩基)を標的とした585塩基長からなる長鎖2本鎖RNAをin vitro Transcription T7 Kit for TNA synthesis(TaKaRaBio)を用いて合成した。また,同じくヤマトシロアリのヘキサメリン遺伝子の3箇所の部分配列(330-348,2107-2115,2273-2291塩基)を標的とした短鎖2本鎖RNAを設計し,その合成を北海道システムサイエンス(株)に依頼した。長鎖・短鎖2本鎖RNAともに3'末端にUU2塩基の突出末端を付加した形で調製した。ヤマトシロアリの職蟻に,各々500pg(2.3nl)の2本鎖RNAを注入し,ヘキサメリンを標的としたRNA干渉実験を行った。注入後のヘキサメリン遺伝子の発現量の変化をリアルタイムPCRで定量した。長鎖2本鎖RNAを注入した場合に著しいヘキサメリン遺伝子の発現量の低下が認められた。一方,短鎖2本鎖RNAを注入した場合には,配列によりヘキサメリン遺伝子の発現量に大きな差異があることが明らかになった。昨年までの結果より,ヘキサメリンを抑制することで,産卵することのできる階級である幼形生殖虫への分化が促進されることが分かっている。今年度の実験で用いた長鎖2本鎖RNAのヤマトシロアリへの注入によるRNA干渉実験という手法により,幼形生殖虫の数を増やすことが可能となると推定される。このことは,将来,シロアリを人為的に増殖させ,バイオディーゼル燃料として利用する技術の開発へと道を開くものである。
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