2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580186
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
瓦田 研介 Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute, 研究開発部, 主任研究員 (10463069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 惠子 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発部, 主任 (70463073)
近江 正陽 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (70233020)
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Keywords | 木材 / 木材用接着剤 / 有機酸 / 小形チャンバー |
Research Abstract |
貴重な文化財や金属材料を激しく劣化させる有機酸に関する研究は、有機酸の迅速な捕集方法や精密な分析方法がなく、木材や木質材料の有機酸放散メカニズムの解明が難しいのが現状である。そこで、本研究では、木材及び木質ボードから放散される有機酸を迅速かつ高精度に測定し、木材構成成分や接着剤の化学構造と有機酸放散速度との関係から、有機酸の放散機構を解明することを目的とした。本年度は、有機酸分析法の開発に必要な文化財公開施設内の有機酸濃度の目安とされている150ppb程度の低濃度ガスを発生できる標準ガス発生装置を試作した。また、小形チャンバー法を用いた有機酸濃度の動的測定を行うために、グラファイトカーボンを充填した捕集管等による分析方法について検討した。さらに、簡易で安価に有機酸放散量を測定できる方法として、ホルムアルデヒド放散量測定に用いているデシケーター法を改良した測定法を考案した。その結果、150ppb程度の酢酸・ギ酸を発生できる標準ガス発生装置の試作に成功した。標準ガスを用いて活性炭およびグラファイトカーボンを充填した捕集管の有機酸捕集について、インピンジャー法との比較から検討した。その結果、グラファイトカーボンを充填した捕集管では、ブランク抽出液には酢酸・ギ酸のピークと重複する成分が少なく測定が可能であった。また、インピンジャー法とグラファイトカーボンを充填した捕集管とで求めた有機酸濃度では測定値間での差異は小さく、小形チャンバー法の捕集管として利用可能であることが判明した。スギ辺材・心材、ファルカタ、スプルース、ブナ及び代表的な木材用接着剤3種類について改良デシケーター法によって有機酸放散量の測定を行い、樹種や含水率が木材から放散される有機酸放散量に及ぼす影響について知見が得られた。
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Research Products
(5 results)