2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580186
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
瓦田 研介 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部・開発第二課, 研究員 (10463069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 恵子 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部・開発第二課, 研究員 (70463073)
近江 正陽 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (70233020)
浜野 智子 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部・開発第二課, 研究員 (70463023)
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Keywords | 木材 / 木材接着 / 有機酸 / アンモニア |
Research Abstract |
貴重な文化財や金属材料を激しく劣化させるギ酸や酢酸などの有機酸に関する研究は、有機酸の迅速な捕集方法や精密な分析方法がなく、木材や木質材料の有機酸放散メカニズムの解明が難しいのが現状である。そこで、本研究では、木材及び木質ボードから放散される有機酸を迅速かつ高精度に測定し、木材構成成分や接着剤の化学構造と有機酸放散量との関係から、有機酸の放散機構を解明することを目的とした。 本年度は、木質材料に多用される木材用接着剤が放散する有機酸を測定した。その結果、ウレタン樹脂接着剤および水性高分子-イソシアネート系樹脂接着剤に比べて酢酸ビニル樹脂エマルジョンは酢酸放散量が20倍以上大きいことが判明した。これは、酢酸ビニル樹脂エマルジョンに含まれている未反応の酢酸の遊離が原因であると思われた。また、水性高分子-イソシアネート系樹脂接着剤の主剤にもポリビニルアルコールが含まれており、主鎖に残留するアセチル基の遊離が原因と思われる微量の酢酸の放散を測定した。これらの結果から、木材用接着剤の中には有機酸を多く放散するものがあり、酸性条件を忌避するような環境に使用する木質材料には不適格な接着剤があることがわかった。 さらに、メラミンユリア-ホルムアルデヒド樹脂接着剤を用いたパーティクルボードが放散する有機酸及びアンモニアの特性を詳細に検討した結果、添加した尿素(ユリア)が増加するとホルムアルデヒド放散量は減少するが、アンモニアの放散量が増加することが明らかとなった。これは耐熱性の低い尿素が熱圧締中に分解してアンモニアが生成したことが原因であると推察された。これらの結果から、本研究で用いた測定原理を応用した結果、有機酸に加えて現在まで測定例がないアンモニア放散量の測定が可能であることを見出した。
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Research Products
(4 results)