2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580189
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高津 哲也 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (50241378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (10193393)
小林 直人 北海道大学, 水産学部, 助教 (00250506)
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Keywords | アカガレイ / 仔魚 / 耳石 / 日周輪 / 成長率 / 卓越年級群 / 餌密度 / 水温 |
Research Abstract |
産業上重要なアカガレイの卓越年級群発生機構の解明と,その発生予測技術を開発するために,北海道噴火湾において,北海道大学水産学部附属練習船うしお丸を用いてアカガレイ仔魚のプランクトンネット採集と海洋環境調査を実施した。仔魚は水深15mに高密度に出現した。2009年1-3月に採集された仔魚のラピラス耳石日周輪の平均輪紋幅は0.67±0.029μm(±標準偏差,n=55)であったが,2009年12月-2010年4月は0.63±0.025μm(n=58)を示し,2月下旬から3月下旬に低水温だった後者の輪紋幅が若干狭かった。発育初期仔魚の採集前3日間の平均輪紋幅は,2009年3月12日の水温3.4℃,餌であるかいあし類ノープリウスの密度15.1個体/L(ともに水深15m層)の採集条件下で最も広く,逆に2010年2月27日の1.8℃,14.3個体/Lの条件下で最も狭かった。これら2年間の採集前3日間の輪紋幅について,水温とノープリウス密度を説明変数とする非線形重回帰モデルにあてはめると,計算上4.7℃,32.9個体/Lで最大輪紋幅に達すると推定された。噴火湾で実際に測定された仔魚採集時水温とノープリウス密度の範囲内では(1.8-5.8℃,8.0-18.2個体/L;それぞれ各採集回次の平均値と中央値の範囲),中庸な水温かつ高餌密度の条件下で成長率が高いといえる。また水温はノープリウス密度よりも1.8倍強く輪紋幅を規定していたことから,餌密度よりも水温がアカガレイ仔魚の生残率を左右している可能性がある。
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