2008 Fiscal Year Annual Research Report
自然遺産知床・羅臼(らうす)の環境循環型漁業地域形成モデルの構築
Project/Area Number |
20580190
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古屋 温美 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 特任准教授 (20455588)
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Keywords | CO2収支 / LCA分析 / 廃棄物産業連関表(WIO) / 沿岸域 |
Research Abstract |
本研究の目的は、知床羅臼(らうす)をフィールドとして、漁村の二酸化炭素収支に着目した環境循環型漁業地域形成モデルを構築し、漁村における二酸化炭素排出量削減の意義を地球環境問題への対応という国民的視点にたって評価することである。 今年度は次のおつの研究を行った。 1. 知床羅臼地域の陸海域での二酸化炭素収支メカニズムの解明と定量的評価 陸上では知床半島に有する森林の固定量、海域では海藻によるCO2固定量のうち流れ藻として海底に吸収されるCO2量、大陸棚ポンプ機能によるCO2固定量を推計した。沿岸域のCO2固定源としての機能評価を具体的に行ったことで、循環型社会形成における漁村地域の存在意義を示せる点で意義がある。 2. 二酸化炭素排出削減対策の実施による削減量の定量的評価 本年度は、次に示す3つの人為的CO2削減シナリオを検討した。(1)で推計した陸海域の固定量に加え、政策的人為的にCO2排出量を削減する対策の実施は地球温暖化防止上、重要性が高い。 (1)羅臼地域水産系廃棄物堆肥化処理で発生するメタンガスを発電利用した場合のCO2削減シナリオ (2)昆布漁業における昆布乾燥作業の熱効率改善によるCO2削減シナリオ (3)羅臼地域で実施する基盤整備事業においてリサイクル材を使用した場合のCO2削減シナリオ 3. 知床羅臼地域におけるWIO作成と二酸化炭素収支に着目したLCA分析 羅臼地域産業連間表(既成)をもとに、各産業活動から排出される廃棄物と産業活動に由来するCO2排出量を一つの表で表す羅臼地域廃棄物産業連関表(WIO(waste input-output table))を作成した。漁村では2例目で、漁村のCO2収支に人為的CO2削減施策や廃棄物対策などによるCO2削減量を反映し、LCAによる総合的なCO2削減効果を定量化できる。 なお、この分野の先行研究者である早稲田大学中村研究室との勉強会(2009年1月)も開催した。
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