2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 博 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70261956)
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Keywords | 粘液胞子虫 / 吸虫 / 水産学 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
近年、海産養殖魚に異常遊泳をもたらす脳寄生虫病が増加している。本研究では、寄生虫による宿主め行動操作という観点から、実験行動学と神経生理学的手法を用いて宿主操作の実態とメカニズムを解明することを目的とする。トラフグ等の養殖場において、吸虫Galactosomum sp.と粘液胞子虫Kudoay asunagaiの寄生状況を調査し、異常遊泳との関係を調べる。さらに、異常行動は寄生虫シストの物理的圧迫によるのか、寄生虫が脳内の神経伝達系をかく乱しているのかを実験病理学的に明らかにする。 養殖漁場におけるフィールド調査:K.yasunagaiを検出するため、寄生虫のSSU rDNAに基づくPCRプライマーを設計し、種特異的で高感度のPCR診断法を開発した。前年度、発病が起きた海産魚(スズキ、マダイ、トラフグ)の種苗生産場で定期的にサンプリングして、脳内におけるK.yasunagai寄生の有無を顕微鏡検査とPCR法により調査した。その結果、K.yasunagaiは5月から10月の間に感染することが明らかとなったが、10月以降も新たな感染が起きている可能性も示された。Galactosomum sp.については8月にトラフグ養殖場で調査した結果、発症皿期(旋回遊泳を繰り返す)を示す魚と死亡魚の間脳からメタセルカリアのシストが高率で検出された。 発病メカニズムの解析:K.yasunagaiによる発症スズキと未発症スズキの脳を病理組織学的に比較した結果、シストの数と脳内分布に違いが見られた。しかしサンプル数が少なかったため、病気との因果関係を特定するには至らなかった。また、病魚の脳内神経伝達物質との関連を調べるため、脳内アミン類を測定するHPLCシステムを準備した。
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