2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580206
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
酒井 正博 宮崎大学, 農学部, 教授 (20178536)
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Keywords | インターフェロン / コイ / 遺伝子 / 発現 / Mx / イムキモット / LPS |
Research Abstract |
I型インターフェロン(I-IFN)はウイルスに対する免疫反応において必須の役割を果たすことが知られている。昨年度までの研究で、コイからこのI-IFN遺伝子をクローニングし、その構造を明らかにした。今年度は、このI-IFN遺伝子を活性化する免疫賦活剤およびTLRによるパターン認識機構について検討を行った。 コイの頭腎白血球に、免疫賦活作用を持つLPS、PolyI:C及びイムキモットを作用させ、このI-IFN遺伝子の発現動態について経時的にRT-PCRにより解析を行った。 I-IFN遺伝子の発現は、LPS処理したコイの頭腎白血球において有意な増加を観察されなかった。さらに、Mx遺伝子の増加も確認されなかった。一方、PolyI:Cもしくはイムキモットで処理をした頭腎白血球は、I-IFN遺伝子の発現を有意に増加させた。その後、これらの白血球からMx遺伝子の発現の有意な増加も確認された。次に、イムキモットのレセプターであるTLR7の遺伝子のクローニングを試みたところ、コイにおいても同レセプターの存在が明らかとなった。コイのTLR7の遺伝子は1049個のアミノ酸塩基より構成され、シグナル伝達に必要な種々のモチーフはよく保存されていた。コイのTLR7遺伝子は、ゼブラフィッシュと89.6%、フグとは83.4%、ニジマスとは80.6%の相同性を示した。さらに、本遺伝子の発現はコイのすべての組織で確認された。コイTLR7遺伝子は、イムキモット処理後、24から48時間後に発現の増加が確認された。これらの結果より、コイでも、ほ乳類と同じようなTLRによるパターン認識機構を持っていることが明らかとなった。
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