2008 Fiscal Year Annual Research Report
種苗放流対象メバル類の遺伝的多様性評価と多様性維持をめざした人工授精技術の確立
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20580209
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
富永 修 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 准教授 (90264689)
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Keywords | タケノコメバル / マイクロサテライトDNA / 父性判別 / 遺伝的多様性 / 人工授精 / 卵胎生魚 / 種苗放流 / 種苗生産 |
Research Abstract |
本年度はマイクロサテライトマーカーを用いて親子解析を行い、放流稚魚の多様性を評価する試験と人工授精技術開発試験において精子注入タイミングと適性注入量を検討することに重点を置き、以下の結果を得た。2006年ll月〜2008年12月に香川県において建網、籠網によって採集された天然の妊娠雌19尾と、それぞれの雌が出産した48尾の仔魚からDNAを抽出した。雌親、仔魚のアリル型は、新たに開発したマイクロサテライトマーカー4座(Seob8、Seob9、Seob11、Seob12)によって決定した。父性判別は最尤法によって行い、家系数を算出した。また、生簀内の家系組成に関しては、2004年10月〜2006年9月の期間に採集された雄76尾、雌77尾を、それぞれA、Bの2群に分けて海面生簀(4×4×5m)に収容し、自然交配させた。各親魚と雌が出産した48尾の仔魚のアリル型を決定し、仔魚の家系数を算出した。在来集団では79%が1尾、21%が2尾の雄と交配していた。一方、生簀内交配ではA群の75%、B群の65%が1尾の雄と交配していた。また、A群の25%、B群の35%が複数の雄と交配していた。生簀内交配群の平均受胎率は50.6%で、家系数は在来群で平均1.2家系、生簀内交配群で平均1.5家系であった。また、マイクロサテライト解析の結果、放流群の遺伝的多様性(平均ヘテロ接合対率)は在来集団よりも有意に低かった。 人工授精の可能な時期の可能な時期を検討するために、3尾の雌に対し11月16日、11月25日、12月2日に人工授精を行った。各親魚および産出された仔魚の家系数を算出した。その結果、12月2日以外の時期に人工授精した雄由来の仔魚が認められ、最も早い時期に人工授精した雄に偏った仔魚が出現していた。 本年度の結果から放流集団の遺伝的多様性の低さが示され、その要因として雄親の関与数が少ないことと、種苗生産での親魚選別が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)