2010 Fiscal Year Annual Research Report
世界の海の牧草スケレトネマの種多様性と分類の再構築
Project/Area Number |
20580210
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
山田 真知子 福岡女子大学, 人間環境学部, 教授 (30438303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 繭子 福岡女子大学, 人間環境学部, 助手 (70336965)
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Keywords | Skeletonema / 多様性 / DNA / 電子顕微鏡 / 分類 / 植物プランクトン / 珪藻類 / 海の牧草 |
Research Abstract |
コスモポリタン種の珪藻Skeletonema costatumは、海洋の基礎生産者として水産資源を支える有用な植物プランクトンである一方で赤潮も形成するので、これまで多くの生理生態特性研究がなされてきた。本種に関わる論文数は、この14年間で約550報におよぶ。しかし、2005・2007年にSarno et al.によって電子顕微鏡による形態観察とDNA解析を用いた新しい分類法が発表された結果、本種が新種を含め8種で構成されていることが明らかになったため、本種を含むSkeletonema属各種について新分類法で同定を行い、様々な海域での種多様性の検討や生理生態特性の研究と再評価が必要となった。そこで、我が国沿岸海域のSkeletonema属の種多様性を解明することを目的として、今年度は東京湾、沖縄本部海域、および富山湾や筑後川などの汽水域における本属の出現状況を調査した。 東京湾において栄養細胞としてはS. marinoi-dohrnii complex、 S. japonicum、 S. menzelii、及びS.tropicumの4種が出現し、その中でもS. marinoi-dohrnii complexとS. japonicumが優占していることがわかった。また、休眠期細胞ではS. marinoi-dohrnii complexとS. japonicumの2種が優占しており、両種の発芽水温は海水中での出現温度によく対応していることも確認された。沖縄本部海域の栄養細胞として出現したのはS. menzeliiとS. grevillei 2種で、とくに後者が優占した。また、これら2種が、沖縄本部海域に固有の株であることも確認された富山湾と筑後川の汽水域においては、S. costatum s.s.をはじめS. marinoi-dohrnii complexなど4種が単離された。これらのSkeletonema属は、富山湾の場合は海水に適応している種類であり、一方筑後川の場合は汽水に適応している種類であったことが確かめられ、同一種であってもこれらが生理品種となっていると考えられた。
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Research Products
(7 results)