2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580217
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 啓之 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 助教 (90241372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾島 孝男 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (30160865)
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Keywords | 軟体動物 / 筋収縮 / 筋収縮調節 / トロポニン / 遺伝子 / 相互作用解析 |
Research Abstract |
1.アカザラガイの精巣よりゲノムDNAを調製し、トロポニンI(TnI)をコードするcDNAをプローブとしたサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、TnI遺伝子はシングルコピーであることが示唆された。さらに、cDNAの塩基配列に基づくプライマーを用いたゲノミックPCRにより、幾つかのTnI遺伝子断片が得られ、それらのサイズから、遺伝子の全長は40から50kbp以上に及ぶことが示唆された。TnIのC端側(89残基)をコードする領域については、5460bp全配列を決定し、この領域に7つのイントロンの存在を確認した。他生物TnI遺伝子との配列比較により、これらのイントロンのうち、イントロンaは、動物界に広く保存されている一方、イントロンbは、脊索動物以外にのみ存在しており、無脊椎動物から原始脊索動物が分岐した後に失われたと考えられた。また、イントロンcに見られる38-110bpの塩基配列と相同な配列が、近縁種であるアズマニシキガイのゲノムの複数箇所に存在することが明らかになった。2.軟体動物トロポニンの分子作動機構についての知見を得るため、Biacore(表面プラズモン共鳴法)を用いて、サブユニット間相互作用の解析を行った。その結果、アカザラガイでは、トロポニンT(TnT)がトロポミオシンとほとんど相互作用しないことが明らかになった。また、TnIとトロポニンC(TnC)の相互作用をEDTA、Mg+EGTA、Mg+Ca存在下で比較したところ、EDTAとMg+EGTA存在下では結合定数に差違がなく、Mg+Ca存在下ではMg+EGTA存在下よりも約8倍結合定数が増大した。一方、ウサギTnIとTnC間の相互作用は、Mgの存在によって約8倍、さらにCaが存在すると、約40倍増強し、軟体動物トロポニンでは、二価金属に依存した高次構造変化が小さいことが示唆された。
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